もう戦争は8年間続いてきた
――ロシア側の攻撃で連日犠牲者が出ています。オニスチェンコさんのご家族、現地の状況はいかがですか。
両親がウクライナ東部・ドニプロに住んでいます。いま問題となっているドンバスから近いところですが、電気やガス、水道、インターネットなどライフラインは大丈夫だと連絡が来ました。また兄が首都キエフに住んでいますが、無事です。
――ロシア軍に対する抵抗がねばり強く行われていると日本でも報道されています。
ウクライナの人たち、とくにロシア軍が迫っているキエフの人たちは「必ず勝たなければならない」という気持ちが強い。必死に抵抗しています。侵攻前には、ゼレンスキー大統領に対する国民の批判はありました。でも、軍事侵攻が始まってからは大統領と議会が一致団結して抵抗しています。もう少し時間が経てば、ウクライナは勝つでしょう。ロシア側も、軍事面だけでなく経済面でも、ロシア企業の株が暴落したり影響を被っています。
――かつて同じソビエト連邦の構成国であり、対立があっても友好的に解決できる間柄ではなかったのかという疑問があります。そのため、日本人にとってはロシアがなぜウクライナに侵攻したのかわからないところが少なくありません。ウクライナ人はロシア人に対してどのような感情を持っていますか。
自分が戦っている敵国の国民について、日本人はどう思いますか。もちろん、いい感情は持てないでしょう。日本の人に知ってほしいのは、実はウクライナとロシアはもう8年間、戦争状態にあるということです。2014年にウクライナで政変が起き、これに乗じてロシアはウクライナのクリミア地方を奪いました。東部ドンバス地方にも侵攻し、親ロシア派と言われる武装勢力が支配しています。ドンバスでは毎日、死者や負傷者が出ています。まさに戦争は続いてきたのです。
もちろんウクライナとロシアは近い。例えば、ボルシチは日本ではロシア料理の代表格ですが、実はウクライナの料理です。いまロシア料理と思われているものも、実はウクライナ発祥のものが多いのです。でも、近いからとはいえ同じではない。
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