ロシア経済制裁で原油、ガス供給はどうなるのか 日本エネルギー経済研究所の栗田抄苗氏に聞く

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プーチン大統領肝いりの巨大なプロジェクト・ヤマルLNGプラント(写真:NOVATEK)
ウクライナへの軍事侵攻に端を発した欧米諸国による経済制裁は、ロシアの国際金融からの締め出しという前例のないレベルに拡大している。
一連の経済制裁によって原油や天然ガスの供給はどうなるのか。ロシアのエネルギー事情に詳しい、日本エネルギー経済研究所主任研究員の栗田抄苗氏に聞いた。

 

――ウクライナに軍事侵攻したロシアに対し、欧米諸国や日本などが経済制裁を強めています。

当初はロシアの中位クラスの銀行や政府要人を標的にした制裁にとどまっていたが、欧米諸国や日本が協調してロシア中央銀行の資産を凍結し、同行とのすべての資金取引を禁じたことで、対ロシア投資を見直す動きも増え、経済制裁の威力は一段と高まった。

EU(ヨーロッパ連合)理事会は3月2日、国際的な金融情報サービスであるSWIFTからロシアの一部の銀行を排除する方針を決定したとの声明文を発表した。3月12日から実施される。ロシア第2位のロシア外国貿易銀行(VTB)、ロシア開発対外経済銀行(VEB)を含む7行が排除対象となった。

ロシア最大手のズベルバンクやガスプロムバンクは今回の対象からは除外されたものの、エネルギー貿易やエネルギー開発投融資に関わる大手国営銀行が対象となったことで、ロシアでビジネスを展開しようという投資する側の意欲を一段と削ぐだろう。

世界2位の資源大国

――エネルギー供給についても不安が拡大しています。

くりた・さなえ/2002年、日本エネルギー経済研究所入所。国際協力プロジェクト部石油・ガスグループ専門研究員、戦略・産業ユニット研究員などを経て、2012年4月から同戦略研究ユニット・国際情勢分析第2グループ主任研究員。専門分野はロシアおよびその他旧ソ連諸国のエネルギー政策(写真:本人提供)

ロシアは原油・ガスともに生産で世界第2位の資源大国だが、とりわけ関係が深いのがヨーロッパ諸国だ。ヨーロッパはパイプラインガス供給の約4割をロシアからの供給に依存している。

これに対してアメリカとロシア間でのエネルギーの取引は非常に少ない。日本のガス輸入に占めるロシア依存度も原油で3%、天然ガスで8%程度にとどまる(2020年度)。

――経済制裁を強めていった場合、報復措置としてロシアがヨーロッパへのエネルギー供給を停止させる可能性も指摘されています。

ロシアの全輸出の4割強を原油および石油製品、天然ガスが占めており、同国経済の根幹をなしている(2020年、ロシア中央銀行データ)。欧州のガス輸入におけるロシア依存度については、これまでの経緯や各国の事情などをわかったうえで議論する必要がある。

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ロシアへの「SWIFT遮断」は何をもたらすか

プーチン大統領がもくろむ「世界秩序」の変更

アメリカは痛み覚悟の「経済制裁」を発動できるか

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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