また、先ほど「リハビリは十分か」と申し上げました。上記スキルの継続維持が難しかったものの、たとえば復帰するにあたって、今までと同様の語学や事務職をコア業務に見据える場合、ご自身で持っている語学力と一般的に事務処理で活用する、たとえばマイクロソフトオフィスなどの活用スキルや経験を今一度整理するとともに、忘れているような箇所は家で練習をしておく、といったことをしているかでもだいぶ違うと思います。仕事から離れている期間が長い方だと、たまにタイピングが過度に遅くなっていたり、ワードは大丈夫だけどエクセルはてんで忘れていたりする方がいます。
大事なのは、「こういう方法でスキル維持に努めているので、昔と同等のスキルと見てもらってけっこうです」と堂々と言えるかどうかです。
その中で、さらに「通信教育で頑張って資格取得した」などと言えればベターです。そうでなくとも休職期間中に何かしらスキル維持の努力をしていれば、求職者たるI.R.さんの真剣度合いと相まって、採用側に与える印象は異なるでしょうし、相手の不安感も払拭できるでしょう。
職務経験ゼロの男性2人、明暗を分けた要因は?
ちなみに話を戻しますが、冒頭の職務経験ゼロの男性2人の明暗を分けたのは、「可能性を秘めている」と言うだけで何もしていなかったか、それともしていたかの違いです。採用されたほうは、とにかく何でもやってみるタイプでした。会計の資格に加えてビジネスでも通用しうる程度の英語力の取得など、自分の興味ある分野で実際に行動し、言葉だけでない可能性の探究をしていたからこそ、その姿勢が採用する側にも伝わった。そして当然、勉強を通じた知識が買われて、未経験ながら採用されたのです。
もう一方は、「可能性はある」と言いながら具体的行動が伴っていなかったため、採用する側としては可能性の有無がわからなかった。そしておそらく本人にとっても不明だったでしょう。
また、そもそもどういったスキルが世の中で求められていたり、どのようなポジションがあるかわからないということになってしまわないためにも、そしてご自身がお持ちの経験やスキルのうち、どのスキルを維持・強化すべきかを把握するためにも、ぜひ転職情報やエージェントなどからの情報収集は継続すべきです。していないなら開始すべきです。
そうすると、世の中で求められているスキルの水準がわかり、どの程度のスキルがあればどの程度の待遇の仕事が見つかるかが見えてきます。おのずとI.R.さんの経験やスキルのうち、どれが武器となりうるか、どこに注力してレベル向上を図るべきかが見えてきます。要は現時点における労働市場の調査をするということですね。
重要なのは、漠然と「何かないか」と探すのではなく、持っている経験やスキルをベースに「どこで勝負ができうるか」を考え、その切り口で具体的にアクションを起こしてみること。それが最初の一歩になります。
そして、スキルの棚卸しも重要ですが、ご自身の生活における仕事の位置づけも考えたうえで、仕事を探してみてください。6年間という期間だけを見ると、ブランクが長いようにも感じますが、その先の人生を考えるとそんなに長くないとも言えます。長期的な視点で、ご自身の特徴を生かせるような仕事に出合えることを応援しております。
※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。
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