東大も早慶も「出身大学名」がついに無意味になる オンライン授業が「大学の価値」の根本を変えた

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今後は、教授個人の人気にも格差が生まれるでしょう。教える力がない人も教壇に立てていたのが、これまでの大学の世界でした。しかし、コロナによって、一方的に教えるだけの授業なら、1つか2つ、いいオンラインコンテンツがあればそれですむと、皆が気づきました。

大学には「そこでなければ学べないこと」が必要

そうすると、大学の価値は「一方的に教える授業」以外の部分で評価されるようになります。私がiU(情報経営イノベーション専門職大学)をつくったのも、そこに動機があります。

iUには、「全員が起業する」という目的があります。iUは新しいサービスやビジネスを生みだすために、濃いコミュニケーションをとって、物をつくったり、試したり、企業の方と車座になって話したりということができる場所を提供するプラットフォームです。

今後は、リアルでもオンラインでも、そのコミュニティに参加していることの価値をどうつくるかが勝負になると考えています。そこで、ほかの大学にはできない、ここでなければできないことを設計し、プラットフォームとしての大学をつくれないかと思ったのです。

大学をまたいで、こういった考え方に関心を持つ教授の連携をつくり、支援していこうとする動きもすでに始まっています。

『GAFA next stage』には、今後10~15年で50%の大学が廃校になるという予測が書かれていますが、私は、それ以上のスピードで波をかぶることになると考えています。そして、そのぐらいの危機感を持ったほうが、教育はよりよくなるはずです。

教える側も、教え方やコミュニティのつくり方を工夫することで、学生たちに議論の場を持たせるなど、豊かな学びを与えられます。教師が、教科書を持って前に立つという時代から、生徒1人ずつにパソコンを持たせ、教師がファシリテーターになる時代へと変化していくでしょう。

また、学生も教員も、全員が何らかの情報発信をしていく必要があると考えており、現在、あらゆるメディアと組んで、大学を丸ごとメディアにするというプロジェクトも考案中です。

フェイスブックもグーグルも、大学が生んだものです。フェイスブックは、ハーバードの学生向けにつくったサービスです。グーグルはさらに顕著で、スタンフォード大学そのものがつくったものだと言えます。

かつて、来日中のスタンフォードの学長が、しきりに自分の携帯を気にしていたことがありました。なにかあるのかと聞くと、「今日、グーグルが上場するんだ。自分は、取締役なんだ」と言うのです。学長も株を持っており、株価を気にしていたのですね。

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