東大も早慶も「出身大学名」がついに無意味になる オンライン授業が「大学の価値」の根本を変えた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

大学が、博士課程の学生をプロデュースして、そこに資本家を呼ぶ。会計の会社をあてがい、テクノロジーを与え、育てる。そして、上場にまで導いたわけです。大学が起業支援するというのは、そこまでやるのかと思いました。

日本でも、優れた人を呼び込んで育てるという文化はありますが、そこにお金や技術、人脈をつけて「突破させる」まで支援するということはありません。

企業だけに頼るのも限界がありますから、やはり、大学という場が、そういった機能を担えるように変わらなければならないでしょう。言葉で言えば「産学連携」という、ありふれた表現になりますが、iUでは「そこまでやる」ことを意識していこうと考えています。

iUは、「就職率ランキングには絶対に載らないぞ」という意気込みでやっています。全員が起業すれば、「就職率ゼロ」ですからね(笑)。

そんな大学ですから、意気込みのある面白い学生が集まっています。1~2年生で勉強して、3年生で半年間のインターンに行き、ボコボコにされて帰ってきて、4年生で起業するというカリキュラムを組んだのですが、「4年生まで待てないよ」と言って、1年生からどんどん起業するのです。

高校時代から「これをやりたい」と決めている学生もいますが、「何かやりたいから」ということで入学してくる学生も多いですね。なかには、入学した大学を辞めてiUに入学し直した学生、親子で入学して一緒に学んでいる学生もいます。

「危機は好機」若い読者の奮起を促す1冊

学生たちは、ほぼ全員が、「コロナはチャンスだ」と言っていますよ。世の中が大きく変わるときであり、自分が活躍できる空気になってきたと捉えているようです。私自身も、学生たちが活躍するための場をつくることが、自分の役割であり、チャンスだと思っています。

これまでの大学は、「偏差値」という大きな1つのヒエラルキーの山のなかの世界でした。しかし、産業界は変化しています。「いい会社」と一口に言っても、以前とはガラリと面子が変わっていますよね。ですから、大学にも、もっといろいろな山があっていいと思うのです。

GAFAは、今の若者世代にとってはウルトラチャンピオンです。「あそこに就職できたらいいけど、ぜんぜん無理」という存在ですね。しかし、『GAFA next stage』には、そのGAFAに続くチャレンジャーが出てきていて、すでにすごく大きくなっているということが描かれています。

デジタル化がはじまったのは25年前ですから、本書に書かれている企業は、その当時、ほとんど存在していません。今後、AIが発達して、人間の能力を超えるシンギュラリティが訪れた場合、今の仕事の半分ぐらいはなくなると言われています。それが訪れるのは、25年後ぐらいです。そのときには、いまとはまったく違う企業が現れているでしょう。

今の学生たちは、その未来を見ているのだと思います。つまり、「これから次世代がどんどん出てくるはずだ」という感覚があり、そこにどう向き合うのか、そして、自分がそれをつくっていこうという感覚です。

そこを考えることができるのが、本書の魅力でもあります。ぜひ、若い世代にこそ、読んで元気になってもらいたいと思います。

(構成:泉美 木蘭)

中村 伊知哉 情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかむら いちや / Ichiya Nakamura

京都大学卒業後、旧郵政省入省。MITメディアラボ客員教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授などを経て現職。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事