「奨学金を借りてると話すと、周りからは気を遣われることが多いんです。でも僕の経験は、奨学金を借りようか悩んでいる高校生の参考になると思います」
そんなメッセージをくれたのは、恩田一朗さん(仮名・29歳)。都内にて映像関係の仕事をする男性で、関西圏にある芸術大学を卒業している。借りた奨学金の総額は約570万円だ。
彼の人生は、一言で言うと「過酷」になるだろう。しかし、人生を切り開くために彼がしてきた努力からは、学べるところは多くあるに違いない。
実母が病気で他界、父は新興宗教に…
恩田さんは4人きょうだいの長男だ。本連載では「3人以上のきょうだい(の長男)」がたびたび登場するが、家庭の事情は他の人より複雑である。
「僕が15歳の頃に、母が病気で他界したんです。父は相当引きずってしまったようで、その後、『魂と会話ができる』とうたう新興宗教にハマってしまいました。
そして、その教団から『この人と結婚しなさい』と信者の女性を紹介されて、再婚することに。だから、先ほど『4人きょうだい』と説明しましたが、5つ下の妹は継母の連れ子で、一回り離れた弟は、父と継母の間に産まれた腹違いの弟なんです」
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