「他人の幸せを願う人」ほど幸せになれる衝撃事実 一方、嫉妬しやすい人ほど健康を害することも

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では、どのようにして嫉妬と上手に付き合えば良いのでしょうか?

その一つとして、セルフ・アファメーションという方法があります。この言葉は、「自己肯定」という意味の英語で、効果も実証されている心の整え方です。単に自己を肯定するというわけではなく、一定の型に沿って自分のことを語っていくというものです。さまざまな効果が実証されていますが、嫉妬心を軽減する効果も報告されています。

たとえば、スタンフォード大学のコーヘンとカリフォルニア大学サンタバーバラ校のシャーマンの研究によれば、自身にとって重要なことについて語ることが挙げられています。

「ダンスが私の大事なこと。ダンスは私の情熱であり、人生だ。ダンススタジオは私の第二の我が家だし、ダンスチームは私の第二の家族だ。でも、家族はもっと大事だ。家族なしでは生きられない」といった具合に、言葉にしてみる、あるいは紙に書くなどして、自身にとって重要なことを思い返すのです。

方法が研究者によって多少異なるものの、セルフ・アファメーションをする際に概ね一致しているのは、病気などのネガティブなことは書かず、なりたい自分をイメージして、ポジティブな事象のみを書くという点です。そして、できるだけ現在進行形や現在の状態で表すことがポイントです。自分にとって重要かつポジティブなことを確認するだけで、心の負担は軽減されるというのです。

空を見上げてみては

また、東京大学の田戸岡らによる、「自己他者概念と上下の運動感覚が、ねたみと羨望の生起に及ぼす影響」という研究も興味深いでしょう。

研究内容を要約すると、何かを「上げる」や「下げる」運動をする感覚と、人を「上に見る」、「下に見る」感情に関連性があるかについて実験を行っているのですが、意外にも関連性があるという結果がでています。

実験では、「自分」や「他人」と書かれたカードの位置を上げる動作と下げる動作を比較します。すると、「他人」を上げる動作の場合は良性ねたみといえる「羨望」の感情が、「自分」を下げる動作の場合は悪性ねたみと言える「嫉妬」の感情が、より目立つ結果になったといいます。

誰かをねたみそうになったら、その人の名前を紙に書いて持ち上げてみると、羨望という「良性ねたみ」に変わる可能性があるというわけです。また、視線を上げながら考えるとポジティブな出来事、視線を下げながら考えるとネガティブな出来事が思い起こされやすいとする研究もあります。嫉妬という感情がわきでそうなときは、とりあえず空を見上げてみてもいいかもしれません。

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