日本株はこれで「最悪期脱出」と断言できるのか 「ロシアのウクライナ侵攻後」の注目点は何か

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したがって、今後は中長期的にウクライナ情勢が主要国の株価を大きく押し下げ続ける、という展開は予想していない。ただしそれは、短期的に市場が動揺しない、という意味合いではない。それどころか、今後も株式市況は上下に振れまくるだろう。

例えば、前週末には米英独仏伊加各国とEU(欧州委員会)が、ドルの主要な国際決済システムであるSWIFT(国際銀行間通信協会)から、ロシアの銀行の一部を排除すると表明。27日には日本も参加することを岸田文雄首相が表明した。

SWIFTから排除されると、国境を越えたドル決済が不可能になるわけではないが、実務上は煩雑になる。このため、ロシアが貿易や金融取引を行い、それに伴うドルを決済することが困難化し、ロシアにとって打撃になるということだ。

一方で、貿易も対外金融取引も、ロシアではない国が相手方になっている。ロシアに製品やサービスを輸出した企業は、その代金の受け取りが滞るかもしれない。あるいは、ロシアからエネルギーを輸入していれば、その輸入代金を支払うことが困難化し、「天然ガスの代金を払ってもらっていないのだから、ガスは止める」とロシアから言われてしまうかもしれない。

そうした種々の影響が、どの国の経済やどの国の企業に、どの程度の悪影響を及ぼすかは、極めて見通しがたい。このため、投資家の間に種々の思惑が広がり、主要国の株式市況は短期的に上にも下にも大きく振れ続けるものと懸念する。

アメリカの中小型株の動きに注目

このように、今後も株価の短期変動は激しいものであり続け、投資家は方向感を失うだろう。そして、前述のように「ウクライナ情勢に限っては」総じて最悪の事態を市場がかなり織り込んだと考えているが、「ウクライナ情勢以外の要因で」主要国の株価は3月頃にまだひと押しするだろうと、引き続き予想している。またその後は、株価は長期上昇基調に復しよう。

一連の予想の背景は、これまで述べたこととまったく変わらない。1月31日付の当コラム「日経平均はもう一段下落する可能性が残っている」で解説した見解と同じなので、繰り返しや引用を避ける。詳しくはそちらをご参照いただきたい。

株価のもう一段の下落、さらにはその後の底打ちから反転上昇への流れを見込む中で、筆者はアメリカの中小型株指数である「ラッセル2000」の動向に注目している。

この指数と代表的な株価指数であるS&P500の動きを比較すると、昨年11月初旬までは両者に大きな差がなかったが、それ以降、昨年末までS&P500が堅調に推移したにもかかわらず、ラッセル2000は大きく崩れ始めた。さらに今年に入ると、両指数とも軟調展開に陥った。

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