稼げないソニー! テレビ新製品を連発し、出荷台数急増でも…[上]
ソニーのテレビ事業は一見すると、絶好調だ。
米国時間の10月12日、ソニーは「インターネットテレビ」を発表した。これは、グーグル製の「アンドロイド」とインテル製の高性能半導体を搭載したまったく新しいコンセプトのテレビ。キーボード付きリモコンも付属しており、インターネット閲覧とテレビ番組の視聴という家庭の2大娯楽が、これ1台だけで自在に楽しめる、というものだ。
ソニーは6月にも高精細さが自慢の3Dテレビを発売している。新しい時代を予感させる新型テレビを次々に打ち出しており、テレビにおけるトレンドリーダーとしての地位は復権しつつあるかのようだ。
新興国市場でも追い風が吹き始めている。韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスが上位を占めてきたインドの薄型テレビ市場で今年の夏、ソニーが初めてシェアトップに躍り出た。営業部隊を大幅に増強することで、地方ごとに小規模チェーンがひしめく複雑な販路を地道に開拓した成果だ。
成長著しい中国市場でも、32インチで2999元(約3万7000円)という低価格テレビを発売し、現地ブランドからじわじわとシェアを奪回しつつある。新興国市場でも、急速に「SONY」の4文字が輝きを増してきている。
サムスンが握る生命線 収益化できない迷路
ところが、内実は決して輝いてはいない。華やかな新製品発表、販売台数の躍進とは裏腹に、収益展望は急速に不透明感を増している。テレビはソニーの売り上げの約15%を占めており、単一製品としては最大事業。かかわっている社員も多く、まさにソニーを象徴する製品だ。赤字に悩み続けるテレビ事業は、跛行(はこう)を続けるソニーの縮図である。