「世界一」の可能性は30%、いいなら実行[下] 柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長に聞く

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初仕事はフリース用のポリエステル紡績糸。東レのユニクロ担当部門、GO推進室室長の小川彰が言う。「戸惑う間もなく、(紡績糸が)ピーク時6000トンに。単品では、ありえない数字になった」。が、その翌年、フリースにカゲリが出た。

「このままでは、産地の工場に迷惑がかかる」。小川は手前でブレーキを踏んだ。工場にはユニクロ以外の仕事を回し、ダメージを緩和しながら独自の減産に踏み切ったのだ。

これでユニクロも助かった。もちろん、出来上がった製品は一つ残らずユニクロが引き取った。「やはり、ユニクロはすごい覚悟を持っている。体験を共有し、会社も個人的にも、お互い信頼関係が確立した」。

「やってみる」精神が東レに乗り移った

06年、両社は戦略提携を世間に公表し、関係は一段と強化された。小川によれば、その上にヒートテックの成功がある。「09年の5000万点という数量は、1セクションの判断を越える。会社と会社がしっかり結び付いたから、できた」。

そもそも、ヒートテックは4種類の糸を編み込み、染色する。1種類でも不具合が出ると、全部がパー。「同じものを倍なら簡単だが、毎年、質の進化と数量拡大を一緒にやる。大変だ、と言いながら、やれば、できた」。信頼関係も技術も、体系的に積み上げるうち、柳井の「やってみる」精神が東レに乗り移った。

H&M、ZARA、GAP。そして「うち」。この中のどこかが、世界一になる。「05年の時は、世界一になる可能性は5%もなかった。今は20~30%ぐらいあると思う」。 自らファストファッションと思っていない。ファッション性は加味するが、基本は服装の「部品」。ベーシックゆえに、ファッションのH&MやZARAより普遍性があり、潜在成長力も大きい。柳井の勝算だ。

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