「世界一」の可能性は30%、いいなら実行[下] 柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長に聞く

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唯一認めるセブン&アイ ドラッカーへの傾倒

社長に復帰して4年、09年8月の売り上げは6850億円、経常利益1013億円。ともに、フリース一巡後の大底、03年8月期から2倍以上の水準に急上昇した。

この年、柳井は「2冠王」に輝いた。産業能率大学が主催する「社長が選ぶ今年の社長」調査で256票を獲得して第1位(2位は豊田章男の42票)。かつ、米『フォーブス』誌の「日本の富豪40人」で日本一の金持ちにランクされたのだ。

素直にうれしい。「事業をやる人はみんな金持ちになりたい人。その意味で、事業の一つの到達点。だし、経営者はみんな、いい経営者と言われたい」。同時に、選出理由をクールに分析するのが柳井である。「売れたからじゃないですか。それにわれわれの経営は、オープンでわかりやすいからじゃないですか」。

その柳井が日本で認める小売企業は一つしかない。「セブン&アイグループ。唯一、生き残る経営をやってきた」。現場に通暁した創業者・伊藤雅俊。現場にはいっさい顔を出さず、状況を客観化し戦略を練る鈴木敏文。対極の2人のコンビネーションがセブン&アイの今を作り上げた。柳井の中には、いわば、伊藤と鈴木が同時にいる。

「僕がセブン&アイの経営者だったら、そして、本当に発展しようと思ったら、セブンイレブン以外は全部売るか整理する。セブンイレブンはグローバルに展開できるブランド。効率を考えれば、それが一番」。

鈴木がやろうとして到底できない選択だろう。創業者の柳井は、むろん、根っからの現場派だ。では、鈴木以上に鈴木的な“もう一人”は、いかにして形作られたのか。

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