女性政治家は、本当に"名誉男性"なのか

第1回 「女子力」で地域の課題を解決

地域のママ友が子どもの預け先を見つけられず、働きに出られない悩みを見て「港区は豊かな街なのに税金は何に使われているのか」と疑問を感じた。政治家として待機児童問題に取り組むことが頭に浮かび、夫やママ友たちからも「やってみなよ」と後押しされた。

子どもをおぶって候補者面接に

地域の祭りに参加するのも議員の日常。真愛ちゃんを肩に乗せて神輿を担ぐ柳澤さん(提供写真)

夫がたまたま民主党の地方議員にツテがあったのを契機に立候補志望者の選考面接へ。会場に4カ月の娘をおぶって行くが泣き止まず、党幹部から「出馬は止めろ」と言われた。しかし、かえって闘志を燃やしたという。

「世の女性は出産を機に色々我慢している。それを直すのが政治家の仕事ではないか」

とはいえ地方出身で港区内に地縁・血縁はなく夫も会社員。地盤・看板・かばんもない中での出馬だったが、有権者の支持を集め、2011年の区議選は3位で初当選した。

シングルマザーでも堂々と生きる社会を

立候補時の名前は「小田あき」。しかし当選後に離婚した。女性政治家の離婚は珍しくないが、結婚時の苗字を名乗り続ける人が多い。政治家を企業に見立てると、名前は「社名」「ブランド名」「商品名」にあたる根本的なものだからだ。しかし柳澤さんは旧姓に戻し、「やなざわ亜紀」として活動する道を選んだ。「選挙にはマイナスでしょうし、離婚について地域の年配女性にお叱りも受けた」と打ち明けるが、「前夫の苗字のまま政治家を続けたら、いつか娘に疑問を抱かせてしまう。長い人生を考えて決断した」と前を向く。

もちろん都会でシングルマザーが政治活動をするのは容易ではない。たまに母親が上京して真愛ちゃんの面倒を見てくれることもあるが、基本は自分一人。議会のない時期も平日は陳情を受け、土日は学校行事や町内会、清掃活動と予定はびっしりだ。4歳の一人娘にもう少し付き添う時間が欲しい、と思う切なさも感じる。

それでも柳澤さんは「シングルマザーでも関係なく、堂々と生きていく社会を作りたい」と話す。区民からの相談では、保育園や学童クラブ等に加え、女性から離婚の悩みを持ちかけられることが増えた。「こんなことまで、亜紀ちゃんに言っていいのかしら?」地域の人たちからそう声をかけられることに「私の存在価値がある」と感じている。

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