地方議会で不祥事が続出する背景として、有権者の目が行き届かないが故の緊張感の欠如がしばしば挙げられる。ところが地縁の薄い都市部では地方選挙の投票率が、戦後の右肩下がりが著しい。東京23区の区長選・区議選では、20%台も珍しくなくなった。選挙のことを抜きにしても行政の力だけで解決しない社会問題が多いご時世。地元のことを知らない住民が増えるほど住みよい街づくりの理想は遠のく一方といえる。しかし有権者の関心を地方政治に振り向けるのは簡単なことではない。連載第2回は、新しいアプローチで有権者との関係性を作り続ける若手議員の取り組みをレポートする。
ブログで議会の問題をあぶりだす
「私は政策と文章と情報発信で、この政界の理不尽と真っ向から闘います。ああっ、しかし、腹が立つ!!(怒)(怒)(怒)」――。ストレートに怒気を放つのは、都議会の新人議員、音喜多駿さん(北区選出、31歳)。このコメントはブログの文面。所属するみんなの党の女性都議が、議場で、自民党から「早く結婚したほうがいいんじゃないか?」とヤジを飛ばされた6月18日の深夜、“告発”記事をすかさず投稿。アクセス過多でサーバーがダウンする等、ブログや転載先も含めたPV数は100万(一部推計)に上る反響を呼んだ。
音喜多さんのブログは地方議会の抱える構造的な問題をあぶりだした。セクハラヤジは過去にも散発していて、他党議員には「今さら問題にすることか」と眉をひそめる者もいるが、ブログで「おかしいことはおかしいと言えた」ことで初めて表面化したのだ。
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