若手議員の「革新力」は政治を変えるか 第2回 ネットを活用、あえて難題に挑む

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もうひとつは、かつて区政を少々取材した経験のある筆者も自省を込めて言うが、新聞、テレビが都市部の地方議会を十分にウォッチできていない点も浮き彫りにした。ヤジを全国版で直後に報じたのは一紙で、記者が議場にいなかった社もあるらしい。しかしブログで火のついたネット世論がマスコミを動かし、一大ムーブメントになった。

都議会は昔から「中二階」と言われる。国会や身近な区市町村議会と比べて「何をやっているかわかりづらい」構造を揶揄した別称だ。有権者が接点をイメージしづらいうえに、音喜多さんは「積極的に発信しない議員も多い」と指摘する。業界団体など組織に支持された政党議員の場合、活動報告のチラシやブログで自分たちの利害の絡む問題はそれなりに発信しているが、「(不特定多数の)注目をわざわざ集める必要がない」というわけだ。

その中で、毎日のようにブログを更新する音喜多さんは異質な存在だ。ブロガーになったのは大学在学中。就活時にエントリーシートを掲載して注目された。都議になってからも姿勢は一貫し、給与明細をさらして話題を呼んだ。ただ、単なる“さらし芸”をしているわけではない。「議員でしか得られない情報は多い。マスコミが取り上げなくても書いたら喜ばれる話もある」。職員数16万人、予算規模がスウェーデンの国家予算に匹敵する都政の眠れるネタは豊富だ。

警視庁の交番にパソコンが1台もない現状を見つけると、拾得物などの情報共有の遅れにつながっていると指摘(後に警視総監が交番へのPC導入方針を表明)し、ある時には、シルバーパス制度の見直し提起に踏み込んだ。普通の政治家なら高齢者にひるんで触れたくない論点だが、「都の問題点を発信しなければ注目度が下がり、投票率も下がる負のスパイラルになる」と意図を語る。

ビッグデータで政策ニーズを掘り起こす

ネットは人を地方政治に目を向けさせられるのか? 今夏、多くの広告・宣伝関係者に読まれたLINEの田端信太郎さんらの本のタイトル『広告やメディアで人を動かすのはもうあきらめなさい。』ではないが、旧来のメディアパワーだけでは、購買や投票に至る人々の心のスイッチを押すことは難しい。ましてや政治への不信や無関心が強いご時世。日本一のテレビ選挙でもある都知事選ですら投票率は史上3番目に低い46.14%に低迷した。

ベッドタウンの代表とも言える川崎市長選の投票率も3割台が続く。都市部はマンションのお隣さんの顔も知らない人が普通。都心部のある区議は「住民の入れ替わりが激しい」と地縁の薄さを指摘する。

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