超ホワイト企業は“怒りの芽”をうまく摘む 未来工業ではなぜ社員が能動的に動く?

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しかし、未来工業株式会社では、相手の怒りのもとを見極めたうえで、不満の解消策を図ったと言えるでしょう。

さらに特筆すべきは、労働時間数が短くとも、業績が好調だということ。従業員数1136名にして、連結売上高は352億円(2014年3月期)で、前期実績から増収増益。また、業界で圧倒的なシェアを誇る自社製品も多く、施工業者からの評判も高いそうです。

60歳以上の社員の平均年収は約700万円とのこと。「日本一幸せな会社」と呼ばれるのもうなずけます。

「第1次感情」を見極めよう

さて、ここで怒りが発生するメカニズムについて説明しておきます。前連載である『フェデラー選手も学んだアンガーマネジメント』の第4回「無用なケンカを回避するこんな方法」に詳しく書いたことですが、怒りは第2次感情(セカンダリー・エモーション)といって、それが発生する前には必ず第1次感情(プライマリー・エモーション)というネガティブな感情の蓄積があります。

ネガティブな感情とは、不安、ストレス、悲しみ、苦痛、身体的な辛さ、妬み、自分の弱さ、絶望感、悲観などですね。長時間労働や休暇の少なさは、ストレスや身体的な辛さを生み、高年齢労働者の賃下げは、将来への不安につながり、育児休業を取得する女性労働者への冷遇も、同じく大きな不安や絶望を呼ぶことでしょう。

近年、職場での妊婦への不理解や冷遇を指す「マタニティ・ハラスメント」という造語ができ、社会問題としてもクローズアップされています。これはまさに、冷遇をされてきた女性労働者たちの「怒りの声」でもあります。

広島市の理学療法士の女性が、妊娠をきっかけに配置転換され、勤務先の病院を訴えていた裁判では、この事業者の姿勢を最高裁が厳しく批判する結果となりました。これは怒りの声が届いたと言えるでしょう。

未来工業株式会社の社員有効活用法は、働く人の第1次感情をしっかり見極めて、怒りの芽を摘んでいたと言えます。そして、怒りの芽を摘むことで、「自分たちは大切にされているのだ」と感じさせ、「頑張らなければ」という気概から積極的、能動的に働くようになるのでしょう。

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