インドの交通事故発生率は日本の50倍--どうすれば日本人駐在員の安全を守れるのか?
インドでは、経済発展に伴って自動車台数が急増している。確かな統計の存在する2002年から09年にかけて年間の新車販売台数は3.4倍に増えた。
こうした状況に加えて、交通インフラが未整備、交通安全教育が不十分とくれば交通事故が多発するのは当然だ。いずれは、日本人駐在員の交通事故死が珍しくなくなるかも知れない。
日本人駐在員を交通事故から守るにはどうすればいいだろうか?
インドビジネスに詳しい株式会社ネクストマーケット・リサーチの須貝信一代表取締役に聞いた。同社はインド、南アジアの企業・金融・経済情報の提供のほか、インド進出支援コンサルティングなどを行っている。
--日本人社員がインドに赴任する際に、日本本社の人事部が気にすべきリスク対策について、これまで何度かお伺いしてきました。今回は交通事故と救急医療についてお聞きかせください。先日、中東で日系企業の社員が犠牲になった大きな交通事故がありました。インドでは自動車が急増していますが、交通事情、交通事故やその対策などはどうなっていますか?
インドでは、交通事故は非常に多いと思います。残念ながら、日系駐在員の方で大ケガを負った方もいますし、日本人ではありませんが、日系企業で勤務する数人のインド人が事故に遭って亡くなったこともあります。
とにかく運転が荒く、混み合うところでは車間距離1メートルくらいで流れます。また、二輪、三輪(オートリクシャ)の数が多く、どんどん割り込んで合流したり、追い越したり乱れながらも流れます。追い越すときや、ここに車が走っているよとアピールしたいときは、ホーンを鳴らし続けます。どの車もホーンを鳴らしますので、うるさいだけで何が何だかわかりません。カーブでも平気で追い越します。手信号であまり確認せずに車線変更もします。二重追い越しも多く、これも危険です。