インドの交通事故発生率は日本の50倍--どうすれば日本人駐在員の安全を守れるのか?
あるインド人の方から聞いた話ですが、「日本で交通事故を目撃したとき、当事者同士がお互いお辞儀して冷静に対処しているのを見て驚きました。インドで交通事故はよく見るけれども、考えられない。まくし立てて、お互い罵倒するのが普通ですよ」とのことでした。交通事故に国民性が出るかもしれません。
■1日の交通事故死亡者数は世界第1位
--なるほど。交通事故が多いということですが、どの程度多いのでしょうか?
事故に遭遇する確率は日本よりずっと多いと思います。インド犯罪記録局(National Crime Records Bureau)の1番新しいデータ(2008年)では、1日当たり396人が交通事故で死亡、1297人が負傷しているとのことです。これは自動車の数がインドよりずっと多い中国と比較しても多い数字で、もちろん世界1です。
日本では、交通死亡事故は年々減っていて昨年は5000人を切りましたが、人口でいえば10万分の4の確率です。インドでは、10万分の14です。登録自動車台数と事故の比率でいえば、インドでの交通事故発生確率は、日本の約50倍です。
州別に見ると大都市ムンバイのあるマハラシュトラ州は事故が多く、インド全土の2割くらいを占めています。一方、このマハラシュトラ州は最も経済が成長している地域で自動車登録台数が1番多い州でもあります。
事故発生に対する死亡事故の割合を見ると、逆に田舎に行けば行くほど死亡率が上がります。インド北部の貧しい州が並びます。つまり、事故に遭いやすいということを抜きにして考えると、おそらくは「医療体制」が関係してくるということです。
救急車よりも自家用車を使うか、タクシーを呼べ
--死亡が高いのは医療体制も原因があるということですね。もし、事故に遭てしまったらどうすればよいのでしょうか。救急の医療体制はどうですか?
大ケガをしたときには、もちろん救急車を呼ぶわけですが、注意しなければいけないところがあります。公的な救急サービスに電話した場合、スピードも遅く、搬送先が公立病院になってしまうそうです。あまりあてにできないため、状況によりますが自家用車やタクシーを使うほうが一般的だと思います。また、大きな私立病院の場合は専用救急車がありますので、病院の専用番号に電話して呼びます。