北朝鮮に消費ブームがやって来た 副業で外貨稼ぎ、乗馬から自動車購入まで
904ドルがどうやって出されたのかは、北朝鮮側からの説明がないためよくわからない。ただ、904ドルというのであれば、他の国と比較してみると1000ドル台にあるインドやエジプトと同レベルか、少し低い状態と言えることになる。
前出の環日本海経済研究所の三村光弘調査部長によれば、「平壌は1000ドルから2000ドルの状態にあるとしても、地方を含めた全体で考えると500ドル程度になるのではないか」と指摘する。前述したように、外貨など収入が増えつつある平壌では商品経済が根付き、工業品・食料などは過不足ないようだ。また、食料品や日用品などで北朝鮮の国産品も商業施設の陳列棚にはずらりと並び、来るたびに数も種類も増えているのは間違いない。これでは、韓国側の1%程度は過小評価に思える。
記者は残念ながら、地方を訪れることができなかった。ただ、前出の米谷協同農場がある沙里院市内は昨年も訪れたことがあったが、商業施設を見ると商品は昨年よりも確実に増えていた印象を受けた。国内にある工場すべてがそうではないにしても、工場の稼働率も高まり、需要のある商品を生産・供給できるようになっていることは確かだ。
また、北朝鮮は産業全体における農業の比率が高く、全体の20%超を占める。そのため、農業での生産量を増やせば、GDPは確実に上昇することもある。北朝鮮が言ったように、2013年の穀物生産量が566万トンであれば、北朝鮮にとって必要とされる穀物生産量600万トンに手が届く水準だ。600万トンに届かなかったとしても、残り30万トン程度の不足であれば、輸入や援助物資を受け入れることで十分にまかなえる。北朝鮮にとって、現在はその程度の輸入であれば簡単にまかなえる経済力を持っていると言えるだろう。
為替レートは、ほぼ安定
滞在中、平壌での実勢レートは1ドル=7600~8000ウォン程度で、この3年間はほぼこの程度のレート水準だ。ちなみに、平壌を代表する商業施設である光復地区商業中心(前出)で販売されている商品の価格を、いくつか上げてみたい。
自転車は60万~90万ウォン、外国タバコ1カートンが約2万ウォン、北朝鮮国産焼酎は6000ウォン、ビール1カンが3100ウォン、北朝鮮国産の大同江ビールは大瓶1瓶が5900ウォン。他にも、生鮮野菜は1500~4000ウォン程度の値札が付けられていた。
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