北朝鮮に消費ブームがやって来た 副業で外貨稼ぎ、乗馬から自動車購入まで

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徐々に経済活動が活発化し、収入も食料も増えている北朝鮮。案内された平壌市内の「文繍遊泳場」や「美林乗馬クラブ」といった娯楽施設では、多くの市民が楽しそうにプールで泳いだり、乗馬を楽しむ姿が見られた。

楽しそうに室内プールで泳ぐ平壌市民

遊泳場の入場料は2時間2ドル、乗馬クラブのそれは30分5ドル。その程度の入場料なら、平壌市民の誰もが簡単に支払えるのかどうかはわからない。かつて、このような国家的な施設であれば、入場料はタダだった。平壌市民でも、ここに入場できる人もいればできない人もいると思われる。ただ、そこまでの詳しい収入状況を知ることは、短い滞在ではできなかった。だが、核開発やミサイル発射に対抗して国際的な経済制裁が続く中、今後の発展はどう成し遂げていくのか。

 

乗馬クラブ。入場料は30分5ドルだという

韓国との対話、日本との国交正常化交渉など外交も同時に活発化しているが、最大のネックは米国との交渉だ。米国は現在、北朝鮮に関心がない状況で、どこまで世界での活動空間を広げられるかは未知数だ。ただ、現段階ではっきり言えるのは、彼らは社会主義をうたいながらも確実に商品経済が活発化しているということだ。

現金など可処分所得が増えているなか、現在楽しみ始めた商品経済が後退するようなことになれば、国民の不満も確実に高まるだろうということだ。1990年代後半の「苦難の行軍」と呼ばれた劣悪な経済状況は完全に消え去り、金正恩第1書記が再三訴える「経済強国」「市民生活の向上」を続けることができるか。そのために模索しているのが、現在の北朝鮮と言えるだろう。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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