北朝鮮に消費ブームがやって来た 副業で外貨稼ぎ、乗馬から自動車購入まで
これまでの定説として、北朝鮮国民の平均月給はドル換算で1~2ドル程度で、この程度だと到底生活できないという説が長い間流されてきた。だが、実際はこんな単純な見方ではない。
一つは、北朝鮮の企業所や工場では「独立採算制」が実施され、企業所や工場によってはずいぶんな高給を受け取ることができるようになった。これも、朝鮮社会科学院経済研究所の二人の研究者に聞くと、「西側でいう独立採算制と同じではない。われわれは『社会主義企業責任管理制』という」と言われた。具体的な中身を問うと、
-企業ごとに自分たちの計画を立案し、実行・生産できるようにすること。
-人民の需要が高いものを生産に反映できるようにすること。
-国家の計画の下に、各企業の実情に合わせて労働力を調整できること。
-需要のあるものを開発し、そのための人材養成もできるようにすること。
-合営・合弁を能動的にできること。
-国家の指導の下、企業が財政資源を有効に活用できること。
-企業が自主生産、自主的に価格を設定できること。
-企業の責任制を高めること。
との説明だった。「国家の指導の下」という言葉を除けば、西側でいう独立採算制と同じ内容だ。
高給を手にする労働者も増加
北朝鮮ではこれが昨年ごろから施行されており、収益を上げることができた企業所や工場では、月収数十万ウォン程度の給料を受け取る労働者も増えている。この程度の賃金を受け取ることができれば、4人家族であれば外貨がなくても十分生活できる水準だという。
また、北朝鮮の人たちがすべてのものを外貨で、またヤミ市場で買うのではないことに留意すべきだろう。北朝鮮の国民、特に都市生活者の場合、給料以外にも「後方事業」というものがある。後方事業とは、食料や日用品など生活必需品を労働者に配給、あるいは安価で購入できること。企業所や工場ごとに担当者がどこまで配給、安価購買ができるか知恵を絞っている。そのため、企業所などが超過利益を手にすれば、そのぶん、労働者の賃金や後方事業にその利益を回すことができる。
また、平壌をはじめ大都市では、外貨を稼ぐ手段がかなり存在するという話もある。副業で外貨を稼ぎ、そのぶんを生活費に加えられるということだ。たとえば、教育水準が高い人であれば家庭教師、また自動車などを持っている人は引っ越し業や運送などの副業で外貨を稼ぐことが日常茶飯事のようだ。
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