サムスンショックが示す韓流経営の賞味期限 業績低迷にあえぐのはサムスンだけではない
サムスンショック──。韓国サムスン電子の業績不振が日本企業にも影を落とし始めている。
日立マクセルは10月22日、2015年3月期の業績予想を下方修正。売上高を当初予想の1670億円から1540億円に、営業利益も85億円から51億円へと修正した。
原因はスマートフォン向けリチウムイオン電池事業の低迷だ。主要顧客であるサムスンのスマホ販売不振が直撃した。日立マクセルの千歳喜弘社長は「(サムスン向けなどの)ハイエンドスマホ用電池は、これまで粗利率が3~4割と手堅いビジネスだったが、今後ハイエンドスマホの数量は年間2割ほど下がるという調査もある。収益も半分くらいになるのではと見ている」と警戒する。
このほか、中小型液晶パネル世界最大手のジャパンディスプレイや、タブレット向けタッチペンメーカーのワコムも夏以降、サムスン向け事業が振るわず、相次いで今期業績予想を下方修正している。
スマホ事業が大苦戦
今後もサムスンへ部品供給する企業に“負の連鎖”が広がるとの懸念がある一方、日本企業への影響は限定的との見方も浮上している。
確かにサムスンなど韓国企業が大口顧客である企業は少なくないが、「ほとんどが顧客の多角化を図っている」(日本総合研究所調査部上席主任研究員の向山英彦氏)。具体的には「スマホであれば、業績好調な中国メーカーにも部品供給をしている。全体的な落ち込みはそれほどでもないのでは」(アジア経済研究所主任調査研究員の安倍誠氏)との見立てだ。
が、当のサムスンは、暗いトンネルから抜け出せていない。10月7日に発表した14年12月期第3四半期(7~9月)の売上高は前年同期比20%減の47・45兆ウォン(1ウォン=約0・1円)、営業利益に至っては同60%の減益となる4・06兆ウォンに沈んだ。
同社の説明によると、スマホやテレビ、液晶パネル事業の収益性悪化が足を引っ張った。中でも特に深刻なのがこの数年、営業利益の大半を稼いできたスマホ事業の不振だ。第3四半期の同事業の営業益は1・75兆ウォンと前年同期比73%も落ち込んだ。背景には、先進国でサムスンが得意とするハイエンドスマホの需要が一巡する一方、中国市場では、小米(シャオミ)科技など現地の格安メーカーに押されていることがある。