北朝鮮に消費ブームがやって来た

副業で外貨稼ぎ、乗馬から自動車購入まで

これまで、北朝鮮の農業では「分組管理制」が実施されてきた。これは、15~20人で構成される分組をさらに2~3人をひと組にして土地を任せ、彼らの創意工夫や責任性を高めながら仕事ができるようにし、その生産物で評価するような仕組みになった。これを「圃田担当制」という。

金室長は「中国で言われているような請負制や個人農ではない」と強く否定しながらも、農場員の労働成果に合わせて評価され、現物と現金の両方で分配されると説明。これにより農民たちの意欲が増しているというのだ。すなわち、農民たちは任された圃田を自分の土地のように考えて農作業を行える制度であり、その成果も評価されて分配に回るという仕組みだという。

実際に、前出の米谷協同農場で圃田担当制について聞くと、「社会主義を守りながら、個人が創発性を発揮して収穫を上げることで国家に貢献でき、また個人の収入を増やす最良の方法だと思う」ということだった。実際の成果は今年の収穫量が確定しないとわからないが、一部の農場で先行実施されたきたこの制度が今後どのような結果を生み出すかは注目する必要がありそうだ。

「データは米国と対立しているので出せない」

経済の現場の一端に触れたが、では北朝鮮全体の経済状況はどうなのか。昨年訪朝した際に取材した朝鮮社会科学院経済研究所の李基成教授は、海外メディアに対して初めて具体的な経済データを開陳してくれた。それは、2011年の1人当たりGDP904ドル、07年は638ドルというものだった。

今年も具体的なデータを聞くことができるかと期待したが、対応してくれた同研究所工業経営室の朴成哲室長は「(北朝鮮が)米国と対立している状況の中で、具体的なデータを紹介することはできない」と拒否された。この理由は、一昨年にも対応してくれた李基成教授も口にした理由だった。ただ、2013年の穀物生産量は566万トンで、前年と比べ36.2万トン増えたということだけを教えてくれた。

前出の李教授は当時、1人当たりGDPに触れながら「これまで年間10%程度の成長を遂げてきた」と胸を張った。だが、韓国の中央銀行・韓国銀行が発表した北朝鮮の年間成長率は、この数年間はほぼ1%程度だ。ただ、3年連続で訪問した記者の目には、北朝鮮側が言う10%ほどではないにしても、韓国側が言う数字はあまりにも低すぎるのではないかと疑問を持たざるを得ない。

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