細野豪志氏、「旗揚げ」をした狙いとは? "八方美人"を脱して自らの派閥を結成

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――国内的には地方分権化するとして、対外的な問題にはどう対処すべきか。

日本をとりまく国際環境は近年、極めて激しく変動している。私は国としての意思を明らかにするため、在日外国人の地方参政権に賛成の立場をとらない。これは党内では議論があることだが、国民主権をきちんと維持した上で、我が国の領土を守るという観点を持つべきだ。その上で諸問題について具体的に対応すべきである。

そういう意味で最優先すべきは、民主党が提案している領域警備法だと思う。現実問題として一番重要視すべきは島嶼防衛だ。これはまさにいまそこにある危機だが、その次に想定しておくべきは朝鮮半島有事だろう。これについてはこれまでの議論では不十分だ。さまざまなケースを詳細に検討すべきである。

このように考えると、民主党が政権を持っていた時に現実的な対応ができていなかったことは極めて残念である。最も痛恨に思うのは普天間問題だ。理想を掲げることは大事だが、現実を見失ってはいけない。たとえば核不拡散や核廃絶は重要なことだが、それは国民の安全の確保ができるという前提で目指すべきものだ。それを欠落させた上で理想を追求しても意味がない。

私は野党だからとむやみに理想に走ることはしたくない。もし政権をとったらどうすべきかまで視野に入れて、安全保障問題を考えるべきだと思う。

もちろんこれまでも有事法制や防衛省設置法など、野党であった頃でも現実的な対応をしてきた。しかし普天間問題については鳩山由紀夫首相の個性が出た。それをしっかりと現実主義に戻せなかったという点で、我々に弱さがあった。

これについての国民からの評価は厳しいものだった。いまの民主党への不信感も、これが原因のひとつだと思っている。我々はそういう過去から逃げずに、真剣に向き合わないといけない。なんとなく風に乗って、政権に復帰するということはもうありえない。

さらに反省すべきことは政権時に「現世利益」に偏ったことがある。未来への責任や将来に禍根を残さないこと、そして子どもたちに未来を残すことこそ標榜したかったのに、それをうまく打ち出すことができなかった。たとえば子ども手当の金額だ。支払われるのは2万円なのか2万6000円なのか、金額のことばかりが話題になった。本当に我々が訴えたいことは、教育費を含めて子どもを育てる責任を全て家庭に押し付けるのは無理で、社会も子育てに参加すべきだと考えだった。その理念がかすんでしまったのはなんとも残念である。

同じ釜の飯を食ってこそ、の関係がある

「これまで八方美人と言われてきたが、これからは言うべきことは言っていく」

――民主党を再起させるために何をすべきか。

大事なことは同じ過ちを繰り返さないこと。そのために私は大きく変わった。それが「自誓会」の結成だ。

これまで私は個人献金だけでやりくりしてきた。1人だけならそれでも十分だった。しかし落選中のメンバーも含めて、財政的にも精神的にも仲間を支えていかなくてはいけない。単なる懇親会的なサロンでは、いざという時には一緒に戦えない。同じ釜の飯を食い、苦労をともにしてこそ人間同士のきずなが深まり、パワーが生まれる。

世の中は政策や理論だけで動かない。この人となら一緒にやりたいというエネルギーも必要だ。

私はこれまで八方美人と言われてきたが、これからは言うべきことは言っていくつもりだ。もちろん海江田万里代表は全力で支える。我々が目指すのはコップの中の争いではない。民主党全体が変わることだ。

ひとりが動けば社会が動き、国も動く。日本の将来はまさにこの瞬間、我々がどう行動するかにかかっている。

(撮影:尾形文繁)

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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