MRJは三菱の航空機事業に何をもたらすか 三菱重工のキーマン、鯨井洋一副社長に聞く
生産に携わる従業員の数も今のままでは全然足りない。量産工場の立ち上げには、数百人規模の新規採用に加え、他事業からの配置転換も必要だろう。早めに人材を確保し、教育を通じて習熟度を高めたい。
――事業として考えた場合、投資回収の目安は何機でしょうか。
「何機売れれば」といった単純なものじゃなく、開発費や実際の売価、月産機数、生産の習熟度などいろんな要素が絡む。今はまだ不確定な部分があまりに多いので、そのあたりがきちんと見えてくるまで、採算や収益に関するコメントは勘弁いただきたい。
気になる黒字化のタイミング
――量産開始から最初の5年くらいは赤字が続く?
5年かどうかは別にして、量産が始まっても、最初の何年かは赤字。月産機数が少ないので売り上げがなかなか立たず、費用ばかりが先行して、損益的には大きく沈む形になる。そこから月産レートが徐々に増え、併せて生産の習熟度もだんだん上がり、あるところからカーブを描いて水面に浮上する。そんなイメージになる。
――民間航空機事業の現在の柱であるボーイング機の製造受託では、能力の増強にも動いています。
ボーイングは大量の受注残を抱えており、当社が担当している777の後部・尾部胴体、乗降扉、787の主翼ともフル操業の状態が続いている。設備の稼働状況としては、高水準で安定した理想的な状況だ。最新鋭の787については、現状の月産10機を14機にまで増やす計画が立てられているため、それに対応できるよう当社も工場拡張を決めた。
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