「クールジャパン」、本来は何をするべきか カンヌ「MIPCOM2014」で聞いた生の声
韓流ドラマは日本ドラマの手法を取り入れた演出やプロットも多いが、大きく異なるのは話数が多い作品が多いく、12話ほどで終わるものが多い日本ドラマとの大きな違いになっている。実はこれは輸出を意識したもので、放送枠さえ確保して人気を獲得すれば、その後、契約期間の延長時に放映権料を引き上げることができる。
また、1990年代半ばに日本ドラマの人気が高まった後、1997年にアジア通貨危機が発生。このときに現地の経済状況を鑑みて放映料の引き下げを、日本のテレビ局が共同で申し入れた。このときの大幅な放映料引き下げは一時的なものだったはずが、以降、価格を戻せていないことも放映料で韓流ドラマに負けている理由だが、実は韓流ドラマが大胆な価格戦略を実施できる理由は、韓国政府による支援だけではない。
実は韓流ドラマ収益のうち7割が、日本での売り上げなのだ。韓流ドラマは、いまや大多数のアジア諸国に売れているが、そのすべてを合わせても日本での売上げの半分にも満たない。言い換えれば、日本での安定した売上げを基礎に、アジア諸国での韓流ドラマプロモーションが行われている構図と言えるだろう。
広告料の高い国に売らないと儲からない
2010年のテレビ番組(アニメ、ドラマなど)輸出は、わずか63億円に留まる。同年、韓国の輸出額は165億円と約3倍規模だった。総務省の「放送コンテンツ流通の促進方策に関する検討会」が、輸出3倍という目標を掲げたのも”韓国並み”を意識したものだが、日本以外への輸出額となると(7割が日本向けとするなら)実は日本よりも少ない。
輸出額を増やすことが目的であれば、放送枠に対する広告料が高い国に売らなければ、売り上げは伸びないのは日韓ともに同じというわけだ。
ただし、手をこまねいているだけではない。まずアジアにおける戦略では、話数が少ない日本ドラマを売り込む作戦をTBSは展開しているという。ドラマ製作における過去の蓄積が長く、アーカイブ数は多いため、同じ放送枠を帯で確保した上で、日本ドラマが必ず流れている時間帯を確保するなどの手法で視聴者との固定化された接点を持つ工夫をしているという。
また、韓流ドラマも不得手としており、放映料もずっと高い欧米でのドラマ放映に向けた取り組みもMIPCOMでは行われていた。アニメ、ドラマを問わず西欧や米国で流されれば、桁違いの売上げになるためだ。ただし、道のりは険しい。
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