エクソンモービル日本法人が石油販売事業を合理化、まずは九州の自社保有スタンド20カ所を売却へ

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こうした販売・物流の効率化に加え、製油所の能力削減問題への対応も大きな焦点だ。日本におけるエクソングループは、エクソン本体が販売事業を手がけ、上場子会社の東燃ゼネラルが製造部門に当たる石油精製事業を担っている。

経済産業省は今年度から、精製設備を持つ石油会社に対して、重質油分解装置の装備率に関する具体的な数値規制を導入した。重質油分解装置は、需要減少が著しく値段も安い重油を分解し、比較的に需要が底堅いガソリンなどに変える装置。一定の装備率を課すことによってエネルギーの有効利用を図る、というのが今回の規制の謳い文句だ。

装備率を高めるには、分解装置を新・増設するか、分母となる石油精製の処理能力自体を減らす必要がある。ただし、分解装置の新・増設には最低でも数百億円規模の設備投資を要するため、経営環境の厳しい石油業界にとっては非常に負担が重い。となると、製油所の既存設備を廃棄して精製能力を減らすしか手はなく、「石油業界の過剰設備を強制的に削減させるための規制」(大手精製元売り首脳)とも言われている。

エクソン傘下の東燃ゼネラルはコスモ石油と並んで装備率が低く、課された数値基準を満たすためには、巨額の投資に踏み切るか、現状の精製処理能力(日量66万バレル)を大幅に削減する必要がある。8月中旬の四半期決算会見の席上、エクソン首脳は東燃ゼネラルの対応について、「分解装置への投資や精製能力の削減、その組み合わせなど、あらゆる選択肢を検討している」と語るにとどめたが、具体的な改善計画の提出期限は10月末に迫っている。
(写真はイメージです)

(渡辺 清治=東洋経済オンライン)

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