エクソンモービル日本法人が石油販売事業を合理化、まずは九州の自社保有スタンド20カ所を売却へ
米エクソンモービルの日本法人(以下、エクソン)は、石油販売事業の合理化に乗り出す。第1弾として、九州地区の系列ガソリンスタンド約400カ所のうち、同社がみずから土地や建物・施設を所有する約20カ所のスタンドすべてを売却する。取り引きのある地元の燃料販売会社などに買い取りを打診しており、物件ごとに入札で売却先を決める方針。ただし、元売りとしての販売量減少を避けるため、売却に際しては、スタンドの所有権移転後もブランドの維持とエクソンから仕入れたガソリン販売を条件とする。
エクソンは、国内ガソリン販売でJXグループに次ぐシェアを持つ石油元売り大手。系列スタンドは全国で約4200カ所に上り、「エッソ」「モービル」「ゼネラル」の3ブランドで展開している。大半は取引先の販売代理店が所有・運営するスタンドだが、エクソングループ自身が土地・施設を所有しているスタンドもあり、そうした自社保有物件は少なくとも全国で500カ所以上に上ると見られる。このうち直営スタンドは百数十カ所程度で、自社所有スタンドの多くは販売代理店に施設を有料で貸している。
石油製品の需要が先細るなか、エクソンは石油販売事業の効率化を加速させたい意向で、九州を舞台とした今回の自社所有スタンド売却はその一環。また、現在は元売りがタンクローリーで各スタンドに配送する物流形態が中心だが、同社は今後、販売代理店側がみずからターミナル拠点へ取りに行く「蔵取り」方式を九州地区で拡大させる。営業体制の見直しなども検討している模様。一連の効率化策をまずは九州で先行させ、その効果や販売代理店の反応を見たうえで、他地域でも同様の取り組みを進める可能性が高い。