「人を外見で判断」が根本的に問い直されている訳 私たちはすべて内面を問われる社会にいる

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おそらく以前であれば、「あ、なんかオッサンが適当なことを言っているな」と冷笑されるか無視されていただけだったかもしれない。しかし、報道陣からも容姿発言が問題視され、さらに建設現場への侮辱とも捉えられ、首長は謝罪に追い込まれた。

たぶん首長は女子学生を「きれい」と思ったのはほんとうだろうが、それを言ったり、建設現場の成果と結びつけたりするのが決定的に間違っていた。思うのと、言うのでは、まったく違う時代に私たちはいる。しかし私はこのような時代の潮流に反対したいわけではない。不可逆で追随すべきとすら思っている。

漂白化される社会における内面重視

私たちは、すべて内面を問われる社会にいる。たとえば採用面接のとき。実際の採用基準はわからない。それに明示化された基準はないかもしれないが、表面的には内面が判断され落とされることになる。

会社に入っても、表面的には内面と能力だけが問われることになる。昇進できなければ、つまり内面と能力が否定されることになる。ほんとうの昇進基準とは違うかもしれないが、それはもはや問題ではない。そんなことを疑うこと自体がもはや時代錯誤だ。

繰り返しになるが、私はこのような傾向を否定していない。ただ漂白化する社会は、こんなところに私たちを連れていった。「何も言えなくなるじゃないか」と嘆く人がいる。そのとおりで、私たちは漂白化する社会では、何も言わないほうがいい。

(第3回に続く)

前回:日本人の間で進む「潔癖を求める社会」のリアル(2月24日配信)

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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