「人を外見で判断」が根本的に問い直されている訳 私たちはすべて内面を問われる社会にいる

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話をふたたびビジネス現場に戻す。

そこで登場したのが、バーチャル面接におけるアバターだ。これはコロナ禍ではじまったオンライン面接を発展させたものだ。面接官も、応募者もオンラインかつ、アバターに扮する。こうすることで見た目にも影響を受けずに、内面重視で採用ができるという。さらに学歴や性別、年齢も不詳にできるように、声も変化させられる。技術系の学生は、どうしても素の自分を出せないから、アバター越しのほうがいいらしい。

見た目は採用の重要項目か

かつてインタビューで「ウチは美男美女を採用します。だって、働くならそっちがいいでしょ」と語った経営者がいた。しかし、現在ではそのような発言をする経営者はいないだろう。すくなくとも堂々と語る勇気はもてないに違いない。

以前、ある面接官は「容姿を見ると、その人がどのような人生をたどってきたかがわかる」と言っていた。この話に私は大きくうなずいた。しかし、この面接官も私も、もはや時代遅れ、ということなのだろう。

非常に興味深いのは、こういったニュースを伝えるメディアの人たちは誰もが美男美女のように見える。しかし、この感想を抱く私は差別主義者ということなんだろう。たとえばメディアの採用官にどんな基準で採用しているのですかと問えば、「総合的に決めています」「容姿では決めていません」と答えるだろう。もちろん、私はルッキズムの観点から、この手の議論が繰り返されてきたのも知っている。ただ、企業側の高度な二枚舌に、ある種の違和感をもつ人たちも多いに違いない。

趣旨ではないので固有名詞は書かないが、ある自治体の首長が昨年(2021年)に高速道路の建設現場を視察に行った際に、女子学生が同行した。首長は、その女子学生たちの容姿が「きれい」だったと語った。さらに、同高速道路の開通が予定より早まったことについて、建設現場監督が女子学生を気に入ったので仕事がはかどった、と分析してみせた。

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