ロシア「突然の軍事侵攻」その先にある4つの狙い ロシアはいったい何を考えているのか

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注意すべきは、「非武装化」というのは、単に現存する軍事施設を破壊することを意味するだけではなく、将来にわたってウクライナが軍事力を一定以上に強化しないことを意味しているだろうということだ。これが、②以降のウクライナの中立化という戦略目標にかかわってくるのである。

ロシアの作戦がいつまで続くのかだが、ウクライナやアメリカがロシア側との交渉のテーブルにつくまでということになるだろう。

日露戦争との奇妙な類似点

以上、ロシアの立場をロシア側の発言に即して分析してきたが、ロシアが抱いている懸念を妥当と見るかどうかはそれぞれだろう。ただ、1つ興味深い参照例をあげてみたい。今回のウクライナをめぐる事案は、日露戦争における極東の状況と類似しているところがあるということだ。

日露戦争前夜、ロシア軍は満州に駐留し、ロシアが朝鮮にも手を伸ばそうという形勢の中、満州はロシア、朝鮮は日本の勢力圏として認め合おうという日本側の提案をロシア側は拒否。このままでは時間とともに日本が不利になると考えた日本はついに日露開戦を決定している。

ここでロシア帝国をアメリカ・NATOに、NATO加盟の東欧を満州に、朝鮮をウクライナに、日本をロシアに置き換えればどうだろう。何となく、現在のロシアの置かれた立場が見えてくるのではないだろうか。

もちろん、日露戦争は100年前のことであり、国際社会は全く変わっているので、単純に比較することは適切でない。しかし、国際社会一部の国にとって、国際政治の現実は100年前と比べて、思ったよりも変わっていないのかもしれないということを頭の片隅に置いておくべきだ。

亀山 陽司 著述家、元外交官

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かめやま ようじ / Yoji Kameyama

1980年生まれ。2004年、東京大学教養学部基礎科学科卒業。2006年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修了。外務省入省後ロシア課に勤務し、ユジノサハリンスク総領事館(2009~2011年)、在ロシア日本大使館(2011~2014年)、ロシア課(2014~2017年)など、約10年間ロシア外交に携わる。2020年に退職し、現在は森林業のかたわら執筆活動に従事する。北海道在住。近著に『地政学と歴史で読み解くロシアの行動原理』(PHP新書)、『ロシアの眼から見た日本』(NHK出版新書)

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