四季報のプロが伝授「株価が10倍になる株」発掘法 「テンバガー候補」を見つける3つの条件

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リンチさんが株を始めたのは中学校の頃で、大学の学費は株で稼ぎました。その後も株の世界で実績を上げていくのですが、特筆したいのは、フィデリティ・インベストメンツという運用会社での活躍です。

同社のファンドマネジャーとなったリンチさんは、マゼラン・ファンドというファンドの運用を任されました。ファンドは、複数の株に投資してリターンを狙います。どの企業に、どれくらい投資するかを決めるのがファンドマネジャーであるリンチさんの役割でした。

マゼラン・ファンドを運用したのは1977年から1990年の13年間で、この間にアメリカのニューヨーク・ダウ平均株価は約3倍になりましたが、リンチさんのファンドの価格はそれをはるかに超える28倍になったのです。そのため、当時は「世界ナンバーワンのファンドマネジャー」と呼ばれました。

この驚異的な結果をもたらしたのが、テンバガー株の発掘でした。リンチさんは、大きく値上がりする可能性を秘めた有望企業の株を数多くファンドに組み入れていたのです。

テンバガー候補を見つける3つの条件

リンチさんは当時、1400もの銘柄に投資していたといわれます。

「そんなに!?」「多すぎる!」と感じる人もいるでしょうが、ポイントは投資先を分散することです。仮に10社に均等に投資した場合、そのうちの9社の株が値下がりしたとしても、残り1社の株が10倍になれば損はしません。

また、保有株がたくさんあれば、そのうちの1〜2社が倒産したとしても、投資額全体に対する影響は小さくなります。10社のうち1社が倒産し、株価が0円になったとしても、全体に与える影響はマイナス10%。残り9社のどれかがテンバガー株になれば、損失を埋められるどころか、収支は大きくプラスになります。中小型成長株の投資ではここがポイントです。

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