景気が悪いのにやたら株が高い「違和感」の正体 街で目にする風景と経済指標が異なるからくり
日経平均株価が一時3万円の大台を回復したことについては「景気が悪いのに、株価が高い」という評価が多い。もっとも「景気」の定義は人それぞれであるから、現実のデータがどうであろうと「景気が悪い」と思えばそれまでである。そこに正解・不正解はない。
なぜ景気の実感と株価がズレるのか?
人々は景気を可視的な情報で判断する傾向がある。そのため、人出の少ない街の様子、閑散とした飲食店を目にすると、景気が悪いという印象を強く抱く。
実は、そうした空気が数値に表れている重要な指標が「景気ウォッチャー調査」だ。景気の現状を示す指数はコロナ感染状況が悪化した昨年12月に急落した後、今年1月は首都圏を中心とする緊急事態宣言を受けて一段と低下した(表)。人々が抱く景況感は景気ウォッチャー調査に近いと思われ、こうしたデータをみる限り現在の株価上昇は違和感を禁じえない。
一方、定量的なデータが示す景気の姿は異なる。2月15日に発表された日本の実質GDP(10〜12月期)は日本経済の力強い回復を示した。2020年4〜6月期の落ち込み分の9割以上を埋め、水準は2019年10〜12月期との比較でマイナス1.2%、消費税率引き上げ前にあたる2019年7〜9月期との比較でマイナス2.9%まで回復した。
つい半年ほど前の段階では「実質GDPが直近ピークの2019年7~9月期の水準を回復するのは2024年頃との見方が多かった。だが、そうした見方は悲観的すぎた」ように思われる。当社の最新予想(2/16時点)は、2019年10〜12月期の水準を取り戻すのは2022年4〜6月期、2019年7〜9月期を回復するのは2022年10〜12月期となっている。
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