景気が悪いのにやたら株が高い「違和感」の正体

街で目にする風景と経済指標が異なるからくり

力強いリバウンドに貢献したのは製造業である。実質輸出はコロナ禍前の水準を回復し、鉱工業生産も1月の生産計画を踏まえると前年水準の回復が目前に迫っている。

これは世界的なIT関連財需要の高まりに加え、アメリカにおける自動車販売台数の回復が大きく貢献した。そうした下で企業は設備投資再開に踏み切っており、GDPベースの設備投資はパンデミック発生以降で初めて増加した。設備投資は先行きも明るい。先行指標の機械受注統計によるとコア民需(船舶・電力を除く民需)は12月まで3カ月連続で増加し、水準は2019年平均を上回った。企業がコロナ禍の終息を見据え、生産設備の更新や能力増強に前向きになっている様子が透けて見える。こうした前向きな循環が始まりつつあることは心強い。

ここで認識しておきたいのは、日経平均株価に採用されている225銘柄のうち、6割強が製造業であることだ。こうした製造業の底堅さは、街角景気との直接的な関係が希薄であるから、人々の景気認識と株価(≒上場製造業の業績改善期待を受けた上昇)が異なるのは、ある意味当然かもしれない。

日経平均株価には外食は入っていない

コロナ禍では“巣ごもり消費”が盛り上がり、家具、家電、タブレット端末などの売れ行きが好調で製造業の業績改善につながったのは上述のとおりだ。

一方でやや意外なことにサービス消費も持ち直している。10〜12月期の個人消費は耐久財が前期比+9.2%、半耐久財がマイナス2.0%、非耐久財がマイナス0.5%、サービスが+3.0%であった。

サービス消費の水準は2019年10〜12月期の水準をなお下回るものの、Go Toキャンペーンによる支えのほか、旅行・飲食以外の支出が増加したことで、少なくとも10〜12月期までは回復経路を歩んでいた。関連指標の第3次産業活動指数で業種別の推移を確認すると対面・移動・集合を伴うサービス業“以外”の底堅さが示されている。サービスセクターの落ち込みは鉄道、空運、宿泊・飲食、音楽・芸術等興行、遊園地・テーマパークで大半が説明可能だ。

これも重要なポイントだ。というのも、日経平均採用銘柄をみると、コロナの打撃がきつい鉄道は8社と多く含まれているものの、空運はわずかに1社、飲食・宿泊に至ってはゼロである。このように、日経平均株価とコロナの直接的な関係が希薄であるという「そもそもの事実」は見落とされがちだ。

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