人生うまくいかない人は「自己表現力」が足りない IQとEQに次ぐ重要な「第3の知性」とは何か
しかし主催者側の態度はつれないものでした。
「ホームページで刻々確認する義務は参加者にあります。アジェンダには個別連絡するとは書いていません」
「日本なら大事なビジネスで発表をお願いしたスピーカーには、変更があったら主催者側から言うのが常識だ」
Tさんは、憤まんやるかたない顔をしています。でも、本当にそうでしょうか?
契約社会では、個人の権利は個人で守るべきだと考えられています。われわれ多くの日本人は、契約書に書いてある以上のことを期待してしまいがちです。しかし、それは無理なのがアメリカンスタイルでしょう。
「これはこれ、それはそれ、ひとつよろしく」
日本人は、こんなセリフで相手の想像力に委ね、期待してきました。グローバル社会ではもう通りません。それは、怠慢とされてしまいます。
「契約以外を期待するのはあなたの運頼みですよ。伝えなくてもわかるでしょう、という考えはこの後詳細に述べる日本古来の『高コンテキスト文化』でしょうね」
パフォーマンス心理学的には、「伝えなくてもわかるでしょう流」は甘えの構造というべきです。
相手には「あなたの話を聞かない権利」がある
2人目は東京で日本の不動産販売の仲介をしているGさんです。彼はホノルルで不動産関係者の会議があり、その会場で質疑応答を含む1時間のプレゼンをしました。
相当に準備して、パワーポイントも18枚しっかり用意し、所要時間を計測。その資料は、私も前もってメールでチェックしていました。
写真もなかなか美しく、資料を見る限り、プレゼンの成功を予想できる出来栄えです。ところがプレゼン後、私の事務所に来た彼は、怒っていました。
「私がこれだけ熱心に発表したのに、『端的に言えば、それはどれだけの確率でペイしますか』などと失礼な質問をした人がいるんですよ。そのうえ、居眠りした聞き手が数人いて、ガタンといすの音がして1人が出ていった。ずいぶん失礼な奴らではありませんか」
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