人生うまくいかない人は「自己表現力」が足りない IQとEQに次ぐ重要な「第3の知性」とは何か

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しかもここで大切なことは、PQは単に順番としてIQとEQに次ぐものであるという意味ではなくて、表現の中にこそ、その人の知性「IQ」が内包され、その人の感情「EQ」も内包されているという人間の対人能力の統合形であり最終形であることです。

例えば今日あなたに会ったある人が、「私が今いちばん気になっていることはこの問題です」と語るときに、その言葉には、話し手のこれまでの経験や判断基準やものの考え方(IQ)と、そのときの感情(EQ)がはっきり反映されますし、あなたという相手に対する感情(EQ)も明らかに影響を与えています。心は表現を決めますが、表現も心を反映し、時には表現が心の行く先を決めてしまうこともあります。

この仕組みを簡単に図表①と②で見てください。

人間の基本的欲求の中の最高次元の欲求として「自己実現の欲求」を指摘した心理学者A・マズローも、自己実現欲求が満たされるための条件の1つとして「自己表現欲求」の充足を指摘しています。心にどんな欲求や願いがあっても、それがうまく表現されて、相手に理解され、相手と心がつながっていかなければ、私たちの自己実現はできないというのです。われわれは、たった1人で生きているのでなく、みんなで手をつないで生きる社会的動物ですから、思えばこれは当然のことでしょう。

社会で人とつながって自己実現していく人間の運命や根源的仕組みを考えるとき、心の中の思いは自分が「伝えた」と思っていても相手にその意図どおりに「伝わって」いなければ、意味がないのです。

パフォーマンスとはなにか?

「表現されない実力は、無いも同じである」

この考え方を土台として、私はもう40年以上もの間、自己表現の科学的研究と教育を目指してパフォーマンス学(後にパフォーマンス心理学)を専門にして、実験を繰り返し、データを集積してきました。

私とその仲間たちは、パフォーマンスを「目的に沿って、意図され組みたてられた自己表現」と定義しています。パフォーマンス学のアメリカにおける創始者の1人、社会学者(後に社会心理学者)E・ゴッフマンの言葉をどうぞ。

「あるパフォーマンスとは、ある特定の機会にある特定の参加者が何らかのしかたでほかの参加者のだれかに影響を及ぼす挙動の一切」

「パフォーマンス心理学」は、たくさんの実験や研究データに基づく自己表現研究のサイエンスです。

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