江戸時代に今をはるかにしのぐ猫ブームがあった 猫が描かれた「浮世絵」が次々と世に出ていた

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江戸時代に起きた猫ブーム、いったいなぜ起きたのでしょうか?(画:個人蔵)
世界有数の猫好き国民といわれる日本人。飼育数も犬を抜き、人間のパートナーとして、かけがえのない存在となっている。だが、猫の優れた能力はあまり知られていない。それもそのはず。猫は一日のほとんどを寝て過ごすため、人間にはその優れた心身の能力を見せる機会がごく少ないからだ。猫研究の第一人者として各地でフィールドワークを行う生物学者山根明弘氏の著書『ねこはすごい』より、猫の隠れた「すごさ」を一部抜粋して紹介する。

ねこブームは、昔からあった!

現在は空前のねこブームともいわれています。テレビをつければ、たくさんのCMにねこが出演し、ねこをテーマにしたテレビ番組が毎週のように放映されています。書店に行ってみると、毎月のように新刊のねこ写真集やねこ本が発行され、「ねこコーナー」に平積みにされています。少し前までは、大都市にしかなかったねこカフェも、最近では地方都市でも普通に見かけるようになりました。

また、各地のデパートでは、写真家の岩合光昭さんの作品をはじめとする、ねこの写真展が女性客を中心に大変なにぎわいをみせています。ここ数年は、美術館や博物館の業界でも、ねこの絵画や浮世絵を中心に展示するいわゆる「ねこ展」が各地で企画され、どこでも大ヒットし、これまでの入館者数記録を更新する館もあるほどです。

個人的にも、ねこブームの到来を感じることがあります。それは、わたしのノラねこの研究に対する、一般の方々からの反応の変化です。

20年ほど前は、ノラねこを研究しているなどと人前で話そうものなら、変人扱いをされたものでした。よほどねこが好きな変わり者か、ヒマを持て余した気楽な大学院生とでも思われていたようでした。

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