アップルは「iPhoneだけの企業」になった? 「一極集中&ハロー効果」が鮮明に

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Macは、2014年第4四半期に、552万台を売り上げ、前年同期比で21%の販売増加となった。Macは、タブレットの影響で世界的には販売がマイナス成長の中でも唯一、力強く成長しているブランドだ。アルミニウム素材としたデザインは他のパソコンと一線を画しているものの、2013年に登場したMac Pro以外、ここ数年デザインを変えたMacはなく、最新のCPUやグラフィックスにアップデートした程度だ。

この背景には、iPhoneユーザーの継続的な増加と、アップルのエコシステムによる囲い込みが効き始めていることを示唆していると考えられる。そしてこの傾向は、最新のiPhone向けiOS 8と、Mac向けOS X Yosemiteを搭載することで、さらに強まるだろう。

2つのOSはクラウドでのデータや写真の共有に加えて、通話やメッセージ、作成中のメールや文書といった「体験の共有」を実現する。iPhoneを使っているユーザーがMacを選ぶメリットがさらに高まっていくということだ。うまくiPhoneの「アクセサリ」のような位置づけを獲得しつつある点が、Macの勝因と言える。

好調なMacとは対照的にiPadは苦戦中

これとは対照的に、販売が沈みつつあるのがiPadだ。2014年第4四半期の販売台数は約1232万台で、前年同期比から13%の減少となった。売上高も14%減。世界的なタブレットへの需要は年間11%増えているとのデータがあるが、欧米や日本などの先進国市場での成長は止まっており、これらの地域に強いアップルの伸び悩みが鮮明となっている。

同時に、iPadは稼ぎ頭のiPhoneとの連携や棲み分けに悩んでいるようにも見える。

確かにiPad miniの7.9インチの方が大幅に広い画面が利用できるが、iPhoneの大型化で、パーソナルユースではある程度満足のいく画面サイズをポケットに収めることができるようになった。また前述の通り通信会社の補助で安く購入できるiPhoneと、フルプライスでのみの購入となるiPadの違いや、2年ごとに割引が受けられる、という購買のペースメーカーの有無の影響も大きいだろう。

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