アップルは「iPhoneだけの企業」になった? 「一極集中&ハロー効果」が鮮明に

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2013年までは成長率の振れ幅も大きかったが、今後も10%の成長率を維持しながら推移することになると、最大となる四半期で6000万台の達成、最も少ない四半期でも4000万台を超えるiPhoneを販売することができるようになるだろう。この継続的なiPhoneのセールスとその拡大は、アップルにとって大きな成長の源泉となる。

オンラインニュースサイトの「Business Insider」は「iPhoneは奇跡だ」との記事を掲載している。執筆したJay Yarow氏は2年前にも同様の表現をしており、当時からアップルの次の成長の源泉はiPadではなくiPhoneであるとの指摘をしてきた。

継続的な成長の背後にあるのは、「1台あたり平均600ドルの売り上げをアップルにもたらすiPhoneを、消費者はおよそ200ドルから購入できる点だ」とYarow氏は説明する。面白いことに、iPhoneの製造原価はおよそ200ドルとされており、ユーザーは原価を支払い、残りの金額を折半する通信会社がアップルへの利益を支払うようなモデルになっているのだ。

中国圏、アジア・パシフィックではハードルも

もちろん通信会社のメリットもある。iPhoneの代金を肩代わりすることで、ユーザーは2年間、割高なデータ料金を支払い続けてくれることから、1人あたりの収益が増加する。また2年間ユーザーをつなぎ止めておくロイヤリティをiPhoneに任せることができる。

少ない端末の種類と年に1回という更新頻度でも、安定して成長を続けられる仕組みを持った上で、他のデバイスメーカーと対峙するのがアップルのiPhoneビジネスなのである。ただし、新興市場に対して、こうしたやり方が本当に有効なのか、考える必要がありそうだ。先述のように中国、APなど新興市場での売り上げは苦戦している。

4000万台に届こうかというiPhoneの恩恵に授かろうとしているのが、それに連なるビジネスである。すなわちMacとApp Store/iTunes Storeなどのデジタルストア、そしてアクセサリの販売だ。

かつて、iPodは対応アクセサリの市場を作り、iTunes Music Storeでのデジタル販売でCDを駆逐し、Macの認知と人気を高めた。「ハロー(後光)効果」と呼ばれるブランドとエコシステム構築の戦略の中心は、現在iPhoneに移っている。その効果を存分に受けたのはMacだろう。

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