「赤ちゃんや臓器売る人も」アフガンの悲惨な現状 タリバン復権から6カ月で国は激変している

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パリに本部を置く「国境なき記者団」(RSF)が昨年12月に公表した報告によると、タリバンの権力掌握以降、543あったメディアのうち、同11月末に活動が確認されたのは312にとどまり、43%のメディアが姿を消したという。ジャーナリストらメディア関係者の60%は働くことができず、女性に限れば、84%が職を失った。

そんな中でも、タリバンに屈してはならないとテレビ局のレポーターとして奮闘する女性の姿をフランスのメディアが伝えている。

ある女性記者は、権利を求める女性のデモを身の危険に最大限注意しながら果敢に取材。カブールの一角に簡易テントを張った避難民に話を聞き、10歳の病気の娘を救うため、自らの赤ちゃんを300ユーロ(約4万円)で売らざるを得なかった母親の話を引き出した。アフガンでは赤ちゃんのほか、臓器の売買も闇で横行しているという。

人口の6割が人道支援必要に

国連が2月2日に公表した報告書によると、アフガンで人道支援を必要する人の数は2021年には1840万人だったが、2022年には全人口の約6割に相当する2400万人以上に増加する見通しだ。失業して現金収入が途絶えた男性は、「子どもの遊び道具などの大量の家財道具を売って160ドルを得たが、家族を養うのに必要な食料の数日分にしかならない」と嘆いた。

こうした中、最悪の人道危機を回避しようと、人道支援に限ってアフガンへの金の流れを再開させようとする動きが活発化している。アメリカのバイデン大統領は2月11日、アフガン中銀の在米資産のほぼ半分に相当する35億ドル(約4000億円)をアフガンの人道支援に使うよう大統領令に署名。1月には、ノルウェーの首都オスロで、タリバン暫定政権と欧米各国の代表団が人道危機をめぐって協議した。

これに対し、在外アフガン人らは、タリバンに正統性を与えることにつながりかねないとして、オスロでの会合に反対するデモを行った。実際、国際社会はタリバンを交渉相手と認め、将来的に承認するのかどうかというジレンマを抱えている。

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