「赤ちゃんや臓器売る人も」アフガンの悲惨な現状 タリバン復権から6カ月で国は激変している
アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが昨年8月に権力を奪取してから2月15日で半年が経過した。タリバンの厳格なイスラム教の解釈は、1996〜2001年の第1次タリバン政権とほぼ変わっておらず、多くの女性が職場や学校の教室から姿を消した。
政権幹部や州知事などの要職を男性が独占し、タリバンは、女性や少数民族も加えた政権を構築するよう求める国際社会の声を無視している。アフガンは、国家予算の約8割を国際社会からの支援に頼ってきたが、在外資産の多くが凍結され、経済危機が深刻化し、国民は日々の食にも事欠く窮状に陥った。中には、赤ちゃんを売って生活を維持せざるを得ない人もいる。
幻想だった「タリバン2.0」
タリバンが権力を掌握した後に開いた記者会見では、女性の権利などに配慮する姿勢を見せ、専門家らが「タリバン2.0」と表現したように、第1次タリバン政権からバージョンアップしたのではないかとの期待が少しはあった。しかし、タリバンは欧米が支援したガニ前政権関係者や国軍関係者を粛清したり、女性の人権を侵害したりして、国内外の失望を招くのに時間はかからなかった。
その背景には、タリバン内での権力闘争が指摘されている。組織内では、カタール・ドーハでアメリカとの交渉を率いた共同創設者のアブドゥル・ガニ・バラダル師らドーハ組や、強硬派で国際テロ組織アルカイダともつながる「ハッカニ・ネットワーク」創設者の息子シラジュディン・ハッカニ師、タリバンの元最高指導者である故オマル師の息子ヤクーブ師の主に3つの派閥が影響力を持っているといわれる。
政権奪取直後は、記者会見でドーハ組が主導する形で、国際社会に穏やかな面を見せたタリバンだったが、「タリバン内ではドーハ組の力を弱めようという動きになっている」(現地情勢に詳しいジャーナリスト)という。ドーハ組はアメリカとの交渉を通じて欧米の要請にある程度応じなければ、国際社会で孤立することを認識していた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら