スクエニ元社長、「さあクラウドゲームだ!」 新会社シンラ・テクノロジーに込めた熱情
――とはいえ、ゲーム機の性能は進化しています。
退化とまでは言わないが発展が全然なく、新しいゲーム体験も生まれていない。これから何が起こるかというと、スマートフォンがさまざまな国に浸透することでゲーム産業は伸びる。だが、地の果てまで行くとそれで終わり。成熟産業の一番悪い形になるという危機感がすごくあって、テクノロジーの発展が重要だと思った。
ゲームは非常に複雑なアプリケーションソフトだから、かなり高性能なハードが要求される。このハードの価格が下がるに従って、ユーザー数が伸びて産業が広がってきた。例えば初期のアーケードゲーム(業務用のゲーム機)「スペースインベーダー」は、たった1つのゲームをするために20~30万円が必要だった。一般ユーザーでは買えないからゲームセンターが買い取り、コインオペレーションで回していた。
その次に起こったブレークスルーが任天堂の「ファミリーコンピューター」。1台で複数のゲームが遊べ、家庭に普及して市場が伸びた。ただし専用機ではゲームしかできないから、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション2」にDVDプレーヤーが付いて汎用化していった。汎用化の極地がスマートフォン。値段が下がることでユーザー層は臨界点まで広がっている。もう次に何が起こるかというと、突き抜けるしかない。
クラウド上に”ウルトラマシン”をつくる
――突き抜ける?
今まで専用機から汎用機の流れを取ってきたけれど、もう1度専用機に戻そうと。ゲームのためだけにバカみたいなマシンを作るというアイディアです。もともとはコンテンツを作るつもりで5~6年前から研究していた。私の予想だと3~4年前からクラウド規模の業者が出てくるはずだった。確かに出てきたけれど技術的なブレークスルーが全然なかった。だから自分たちで作ろうとなり、3年前からクラウドゲームのプラットフォームをどう事業化するかに考えをシフトさせてきた。
もちろんスクエニとしては、クラウドゲームのコンテンツ供給側として継続して頑張ります。
――すでにソニーやマイクロソフトもクラウドゲームを打ち出している。ライバル関係になるのでは?
われわれはクラウド上に巨大なウルトラマシン、スーパーコンピューターを作ろうという発想。1000万円かけて1台作り、これを1000人で遊んだら1人1万円。これで新しい体験を作ろうというビジネスモデルです。
だからソニーがiPhoneを競合と見ているかという議論と一緒。確かに両方ともゲームをやっているが、マーケットは一緒とも違うともいえる。クラウドゲームも完全な競争関係ではないと思っている。
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