スクエニ元社長、「さあクラウドゲームだ!」

新会社シンラ・テクノロジーに込めた熱情

会社設立にあたって「誰が見てもゲームがやりたいと分かってもらうことが重要だった」と話す和田社長
スクウェア・エニックスホールディングス(スクエニ)は9月、クラウドゲームの新会社「シンラ・テクノロジー」を設立した。社長に就任したのが、旧スクウェア時代から10年以上トップを務め、13年6月にスクエニの社長を退いた和田洋一氏である。なぜゲームソフトメーカーがクラウドゲームの会社を設立したのか。狙いを聞いた。

 

――スクエニの社長退任から1年以上が過ぎました。この間、新会社の立ち上げ準備を進めていたのですか。

 スクエニにとって新しい3つの道を作る必要があると思っていた。1つはフリートゥプレイ(F2P、原則無料)のゲームをどれだけ定着させるか。1発ヒットを狙うのではなく、F2Pのゲームを継続的かつ組織的に出していく体制が必要だった。2つ目は、中国を中心としたゲーム業界から見た新興国の開拓。最後がクラウドゲーム。本社の仕事よりも、どちらかというと旧スクウェアだった周辺部分の仕事をやっていた。

まさに現場の実務でサーバー構成の仕様を詰めたり、「このゲームデザインだと課金モデルはこれじゃだめ」とか。中国ビジネスでは昔ながらの外交をやって、「この社長は今こう思っていて、常務はこうだから、この人とメシ食ってこう攻めろ」みたいな感じ。経営は全然タッチしていない。取締役会もまったく関係ない。

テクノロジーが変わっていない

――社名をシンラ・テクノロジーにした理由は。

ウケ狙いです。やっぱり開発者を熱狂させるなにかが重要。一般的にクラウドと聞くと、いかにもITビジネスのニオイがして「また頭の良さそうな人が何か言っている」「どうせあいつら俺たちを食い物にするだけだから関係ない」といったようなノリがある。だからゲーム業界で何か起こしたいと伝えるためには、誰が見てもゲームがやりたいと分かってもらうことが重要だった。

旧スクウェアのゲームに出てくるキャラクターには、天気に絡めたものが多い。「FF13」の登場人物「ライトニング」は雷様だし、「キングダムハーツ」ではソラとリクが出てくる。なんだか天候が多いなと思ったら、クラウドがいた。

――そこで、「クラウド」が登場するFF7に「神羅カンパニー」があったから、それを社名に採用したと?

 そうです。僕の中ではすぐに決まったけれど、周りに聞いてみると「FFに引きずられるからよくない」とかいろいろ言われました。でも、ウケるから、いいじゃないと(笑)。

――今のゲーム業界をどのように見ていますか

ゲームはものすごく変わった産業で、エンターテイメントと技術が融合して発展してきた。コンテンツデザインとビジネスモデルとテクノロジーが、三つどもえになって発展する。この5年間、スマートフォンの普及でユーザー層と地域が広がり、F2Pというビジネスモデルができた。配信や課金の技術が発達したから自動的にビジネスモデルは変わったが、テクノロジーは何も変わらない。

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