任天堂がiPadに「ポケモンカードゲーム」のアプリを出す――。このニュースへの業界関係者の反応がただの「新アプリ発表」程度にとどまらなかったのは、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末などを“天敵”ととらえる任天堂のスタンスが、大きく変わったように見えたからだ。
Wiiや3DSといった自社ゲーム機の競合となり得る“端末”への任天堂の警戒心は、スマホの普及に伴って生まれたものではない。「実は(任天堂は)15年も前から、携帯そのものに対しものすごく危機感を持っていて、岩田(聡)社長も『携帯に任天堂のライツは絶対に出さない』と明言されていた」(夏野氏)。
本当に「禁断のプレー」?
しかし、世は空前のスマホ時代。ガンホーなどほかのソフトメーカーがスマホ向けゲームで一世を風靡する中、任天堂の業績は冴えない。2011年度から3期連続の営業赤字を計上、株価も低迷している状況だ。
6月末に行われた株主総会でも、スマホ関連の質問が多く寄せられた。ある株主からの「子どもたちはスマホで無料ゲームを遊んでいる。任天堂はどの程度研究していて向き合っているのか」という質問には、「現在、スマートデバイス向けアプリを開発中」(取締役の高橋伸也氏)とする一方、「(スマホなどの端末に)恐怖を感じているが、それが(ゲームの未来の)すべてになってしまうとは考えていない」(宮本茂専務)と、自社のスタンスへの理解も求めていた。
そんな中で浮上したポケモンのiPadアプリ解禁。一部では「禁断のプレー」とも報道されたが、夏野氏は「そんなに毛嫌いしなくても、やりようはいろいろあるのではないか」と語る。
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