チョコに惚れ、海を渡った23歳彼女の桁外れな挑戦 バイト代貯め19歳で現地へ行き受けた衝撃

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カカオ豆の買い取り制度について、ガーナ政府と交渉。アマンフロム村のカカオ農家と政府の間にMpraesoが入ることで、カカオの質に合った価格で買い取りを行う独自取引を実験的に認めてもらう。それによって、アマンフロム村のカカオ農家は適正価格でカカオ豆の取引が可能となった。

同時に彼女は、アマンフロム村のカカオ豆の品質向上にも寄与。タンザニアやインドネシア、台湾などで良質なカカオ豆の生産方法を学び、日本の糀屋職人からカカオ豆の品質を左右する「発酵」の知識を取り入れた。そしてそれらをアマンフロム村のカカオ農家に共有し、カカオ豆の品質を高めていった。

「最近は、現地のカカオ農家さんから『たくさん注文が入った』って聞けるのがうれしいですね。本当にいい関係を築けています」

どうして田口さんはそこまでして、ガーナのために活動するのか。彼女の軌跡をたどってみよう。

ガーナの”現状”を知るために19歳で初渡航

1998年8月、岡山県に生まれた田口さん。子どもの頃から”食いしん坊”だった彼女は、特にチョコレートが大好物だった。

「ひいおじいちゃんが生きていたとき、家へ行くたびに1粒のチョコをくれて。私はそれを大切に保管して、テストや発表会の前に食べて元気を出す習慣がありました。いつもチョコに救われていた私はいつしか、『チョコの生産者に感謝を伝えたい』と思うようになったんです」

しかしチョコレートについて調べるうちに、カカオ豆の主要生産地であるガーナの貧困問題や児童労働者問題を知ることとなる。

「おいしいチョコの裏側にそういう問題があると知って、すごいショックでした……。その事実を知ったのは中学生のときだったんですが、そこからしばらくチョコを食べられなくなってしまって。次第に、『とにかくガーナへ行って、自分の目で現状を確かめたい』と考えるようになりました」

大学入学後にバイトを掛け持ちして渡航費を貯めた田口さんは、2018年7月、単身でガーナ行きの飛行機に飛び乗った。

ガーナでは、先述したエンプレーソ地域アマンフロム村に滞在。カカオ農家の人々と寝食を共にした。すると1週間ほどで、ガーナのカカオ農家の”現状”が見えてきた。

「現地の人々の日給は2ドル程度で、まさに”その日暮らし”でした。そしてガーナのカカオ農家さんにとって、カカオはただの”金のなる木”。食べ物としての認識はなかったですね。私が『チョコがすごい好き』と伝えても、『チョコは高価で、食べたことがない』という人ばかりで。その現実にすごいショックを受けました」

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