チョコに惚れ、海を渡った23歳彼女の桁外れな挑戦 バイト代貯め19歳で現地へ行き受けた衝撃
今年1月には、「MAAHA CHOCOLATE」をリブランディング。ガーナの伝統的なシンボルマーク「アディンクラ・シンボル」をデザインに採用し、華やかで目を引くパッケージへと一新した。そこには、田口さんのガーナに対する想いが込められている。
「このシンボルには、”母なる大地への愛”などの深い意味が、それぞれに込められているんです。ガーナの人々にそれを聞いたとき『本当の豊かさとは、こういうところにあるんだな』と思って。周りからは貧しいと思われているけど、彼らは精神的な豊かさや自然の豊かさにあふれているんです。私たちはその豊かさを学び、伝えていくべきだと思ったので、このシンボルを取り入れました」
今年のバレンタインシーズンは西武池袋本店のほか、三越日本橋本店やなんばマルイなどにも出店。全国の高島屋バレンタインコーナーでは、他ブランドとのコラボ商品も展開している。昨年に比べて大幅に規模が拡大したのは、「何事にもチャレンジしたい」という田口さんの行動力によるものだ。
立ち止まる理由はない
しかし、休みなく突き進んでいく彼女に対して、周囲からは「急ぎすぎでは?」という声があがることもある。田口さんは「そういう意見があるのも理解しています」としつつ、「それでも、ここで立ち止まる理由はない」と話す。それはなぜか?
「ガーナのカカオ農家さんは日々の生活が本当に苦しいんです。マラリアにかかっても医療費が出せない、夢を持つ子どもたちが学校に行けない、という現地の状況を目の前で見てきました。そういうのを考えると『ガーナの人々のために、突き進みたい』って思うんです。一番に考えているのはつねに、『ガーナのために今、何ができるか』ということです」
そんな田口さんは目下、ガーナでの本格的なチョコレート工場の建設に取り組んでいる。今はアマンフロム村の小さなミキサーでカカオ豆を加工しているが、チョコレート工場が完成すれば、カカオ豆の品質をさらに高めたり、加工品を現地生産したりすることも可能。彼女が見据えるのは、カカオ豆の”6次産業化”だ。
「6次産業化することによって、さまざまな付加価値を現地に還元できる。ガーナの宝であるカカオ豆はたくさんの可能性を秘めているので、これからもその可能性を磨き続けていきたい」
他にも、他社チョコレートのOEM生産やコラボ商品の開発など、田口さんの構想は尽きない。初めてのガーナ渡航から約3年半。順調に道を切り開いているように見えるが、彼女自身は「大変なことばかりだった」と振り返る。
「私は本当に不器用なんです。だから全然うまくいかないことばかりだったんですけど……。でも、うまくいかなかったことも含めていろんな種まきをした結果が、今につながっていると思うので。これからも体当たりで挑戦していきたいと思います」
田口さんによるガーナの”カカオ革命”は、始まったばかりだ。
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