従業員の賃金水準によっては特別有給休暇取得日の賃金が助成金額の上限を超えること、助成金申請には少なからずの手間がかかること、何らかの事情で助成金が不支給となるリスクがあることなどの事情により、勤務先が本助成金の利用をためらうケースも珍しくありません。
企業が助成金の利用を拒んだ場合、従業員は都道府県労働局に相談をして、労働局から企業に助成金を活用して特別有給休暇を付与するよう働きかけてもらうことが可能です。
しかし、実務上は、会社との関係性が悪化することを懸念し、本助成金の利用を強く求めることは難しいということも珍しくないでしょう。
そのような場合には、最終的な解決法として、諸条件ありますが、コロナによる休業に対し、事業主から休業手当が支払われなかった場合と同様、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の仕組みにより、従業員本人が直接、国に対し助成金の支払いを個人申請することが可能です。
働き方別の休園・休校への対処法
さて、休園・休校で困ったといっても働き方によってその対処は変わってきます。ここからは具体的な働き方に落とし込んで対策を探ってみます。まずは、雇用契約に基づいて会社員などの立場で働くパパママの話です。
パパママの中には裁量労働制やフレックスタイム制で働いている方もいると思います。あるいは、管理監督者に該当する方もいるでしょう。
これらの制度が適用されている場合、従業員には出退勤の自己裁量が認められているので、休園・休校期間中は仕事をセーブして短時間勤務をし、別の日に長めの時間働くことで、その期間を乗り切ることも考えられます(ただしフレックスタイム制でコアタイムがある場合は、当該時間は勤務が必須)。
普段は周囲に配慮して一定の時間に出退勤を心がけている方も少なくないと思いますが、保育園や小学校が休園・休校になるという非常時には、自分に認められた柔軟な働き方の権利を是非活用してください。
テレワークで働いている方の場合、子どもの保育園や学校が休みになったら、休暇を申請すべきか、子どもの世話をしながら仕事をするべきか、判断に迷うと思います。
この点、テレワークであっても職務専念義務があるので、子どもの世話をするならば休暇を申請することが原則です。
ただし、子どもが小学校高学年以上で、ひとりや兄弟同士で遊んだり勉強をしたりでき、親は昼休みに昼食を作ったり、何か緊急事態があったときだけ対応すればいいということであれば、十分に職務専念義務は果たしていると考えられますので、子どもの世話と仕事を両立させることは可能だと考えられます。
一方で、未就学児や小学校低学年の子どもの場合は、断続的に子どもの世話をしなければならないため、休暇を申請せずに子どもの世話をするのは難しいと言わざるをえないでしょう。
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