能力の低い人ほど「自分を過大評価しがち」な理由 逆にできる人ほど不安で自分を過小評価しがち
できない人ほど楽観的で、自分の能力を実際以上に見積もり、できる人ほど不安が強く、自分の能力を実際以下に見積もる。これは、できる人の方が、現実の自分自身や状況を厳しい目で見ているため、自分を過信し楽観視するよりも、不安が強くなるためでしょう。
それがさらなる成長の原動力ともなっているのです。さらに、追加の実験も行ったダニングとクルーガーは、能力の低い人物は、自分が能力が低いということに気づく能力も低いと結論づけました。単に自己を肯定するように導けばいいというわけではないということは、こうした知見からも明らかです。
欧米はよくほめるがしつけに厳しい社会
自己肯定感がみるからに高いアメリカ人の真似をしてほめて育てるやり方を取り入れた。にもかかわらず、日本人の自己肯定感が一向に高まらないどころか、むしろ自分の衝動をコントロールできず、傷つきやすく心が折れやすい子どもや若者が増えている──その背景には、父性原理の強い社会と母性原理の強い社会という文化の違いも関係しています。
欧米のように子どもを厳しく鍛える父性原理の強い文化においてほめるのと、日本のように子どもに甘い母性原理の強い文化においてほめるのでは、ほめることの効果がまったく異なってくるからです。
それなのに、そうした文化的背景の違いを考慮せずに、「アメリカは進んでいる」「日本は遅れている」「日本もアメリカのようにすべきだ」などと、欧米コンプレックスに突き動かされて、ほめて育てるということをしてしまったのです。
欧米では、小学校1年生から実力が不足していれば留年させますが、日本では、高校生や大学生ですら「みんなと一緒に進級できないとかわいそう」ということで、実力不足でも単位を与えて進級させてしまうことがあります。日本で小学生でも実力不足だったら留年させるなどと言ったら、「そんなのはかわいそうすぎる」と猛反対されるでしょう。
欧米では、親子といえども個としてきちんと切り離されており、乳児の頃から親子別室で寝ますが、日本では、乳児どころか小学生になっても親子が一緒に寝ることもあるほど親子が分離されず、密着しています。
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