実は「寒いほど脂肪は燃える」冬に減量が有効な訳 コロナ太りは薄着になる前に解消できる…かも

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褐色脂肪は人類の進化における素晴らしき残りものです。先祖たちは、長い極寒の氷河期も生き延びています。寒い気候を生き延びるには、内側から温めてくれる別の器官が必要になり、進化とともに褐色脂肪を得ていったのです。

しかし、最後の氷河期からは大分時間が経ち、現代では、家の中は快適に温められている場合が多いでしょう。そして、思春期を過ぎ、筋肉量が増加し、効率よく体を震わせることができるようになると、褐色脂肪に頼る必要がなくなります。

そのため、幼少期を過ぎると肩甲骨まわりの褐色脂肪のほとんどは消え、そのままなくなると思われていました。

しかし、最近の研究で、そうでもないことがわかりました。

大規模な病院では、PETスキャン(陽電子放射断層撮影による画像検査)を使用してがんの検査をします。がん細胞は糖代謝が高く、たくさんの糖を吸収します。糖に類似した放射性物質を患者の血管に注入し、それをスキャンすることで、糖をため込んだがん細胞がほかの健康な細胞よりも明るく見え、発見につながるのです。

およそ15年前、核医学の医師がこれらのスキャン中にある奇妙な現象に気づきました。冬の間にスキャンを受けた多数の患者が、首と大動脈周辺に糖をため込んでいたのです。ここは通常、がんができる部位ではありません。では、何が起こっているのでしょう?

現代人にも「褐色脂肪」が存在していた?

組織を顕微鏡で観察した研究者たちは目を疑いました。組織は脂肪の小さな粒で満たされており、「小さな発電所」であるミトコンドリアでいっぱいだったのです。彼らは褐色脂肪を(再)発見したのです。

その後、たくさんの研究で、成人にも褐色脂肪があることが確認されました。特に首と大動脈に沿って多く存在していることや、痩せている人ほど褐色脂肪を有していて、若者には300グラムほどの褐色脂肪があることなどがわかりました。この(再)発見により、胸躍る新しい研究分野が生まれたのです。

褐色脂肪を働かせれば痩せることができるのでしょうか? 答えはイエスです。バーバラの例が、そのことを示してくれます。

バーバラは61歳で、洋服店で働いていました。彼女は結婚し、成人した2人の娘がいます。これまでずっと細身で、体重が安定するようにいつも気を配ってきました。しかしある日、奇妙なことが起こったのです。

「すごくお腹が空くようになったのよ。お昼ご飯にサンドイッチを食べても、全然足りないの。お昼過ぎにどうしてもお腹が空くから、戸棚のクッキー缶をぺろっと平らげちゃったり。夕飯もおかわりするようになっちゃって。でもそれだけ食べても、寝る時間にはまたお腹が空くのよ」

食欲は増したのに、バーバラの体重は増えませんでした。それどころか、体重が減り始めたのです。3カ月経った頃、体重計に乗ると5キロも痩せていました。

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