心の病を抱える48歳女性に53歳男性が伝えた「愛」 結婚とは?夫婦とは?条件だけでは決まらない

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「しんすけさんは、プロフィールの条件がよいから、お見合いは組めますよね。恋愛経験が少ないなら、これからどんどんお見合いして、交際に入ったらデートを重ねて、これまでに足りなかった恋愛経験を積んでいけばいいと思いますよ」

そんな話をしてから2カ月後、お見合いをしたあいか(41歳、仮名)と交際に入り、順調に関係を育んでいたようだった。今までとは違う手応えを感じたのか、しんすけは「真剣交際を申し込んでみようと思います」と、連絡してきた。

そして、次のデートでそれをあいかに告げると、彼女は急に神妙な面持ちになったという。

難病の女性から「断られた」理由とは?

「実は、私、しんすけさんに伝えていなかったことがあるんです。難病指定されている病気を先天的に持っていて、妊娠する確率は普通の女性よりも低いし、病気の遺伝も心配なので、子どもは積極的に持ちたいとは思っていないんです」

それを聞いて、しんすけは言った。

「これまで婚活で会ってきた人のなかでは、あいかさんが一番気も合ったし、できることならこのご縁を前に進めていけたらと思っています。子どもは授かりものだし、僕は何がなんでも子どもが欲しいわけはないので、病気のことも、妊娠のことも、気にしなくて大丈夫ですよ」

そして、こんな話を続けた。

「実は僕も、37歳のときに心を病んだことがありました。前の会社がブラック企業で、ほとんど休みもなく働き詰め、上司との関係がうまくいかなくて、うつ状態になって1年間ぐらい休職しました。病院に通って薬をもらってよくなったのですが、今も月に1回は薬をもらいに通院しているんですよ」

この告白は、先天性の病を抱えているあいかの気持ちをほぐそうと思って、伝えたことだった。ところが翌日、あいかの相談室から交際終了が来た。驚いた私が相談室に連絡をすると、あいかの仲人は終了理由をこう告げてきた。

「家に帰って、両親にしんすけさんがうつ病にかかって1年間休職したことを伝えたら、結婚に反対されたらしいんです。親御さんとしては、体の弱い娘だから、心も体も健康な男性と結婚してほしいと思ったのでしょう」

娘には幸せな結婚をしてほしいと願うのが親心だ。だから、体の弱い娘には心の弱い男性は近づけたくない。病を抱えている彼女を受け入れようとした優しい心の持ち主だったとしても、心も体も健康な男性でなければ、結婚に賛成するわけにはいかない。

これは娘を大切にする親心に思えるが、実はエゴなのではないか。そして、41歳になった娘も、自分が人生を共にするパートナーを、親の反対であきらめてしまうのはいかがなものか。もちろん、その人の人生はその人のものなので、答えはそれぞれにあるのだろうが。

ゆきえ(48歳、仮名)は婚活を始めて1年が経った。年齢的にも子どもを授かる結婚ではなく、人生を一緒に歩むパートナーを探していた。

婚活市場には40代後半、50代、60代になってもわが子を望む男性たちがいるが、ゆきえが希望する相手は子どもを望んでいないパートナー。見合いが組める数は少なかったが、いつもにこにこしながら相手の話を聞く癒し系のゆきえは、見合いを終えるとたいていが交際にまで進展していた。

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