援助じゃアフリカは発展しない ダンビサ・モヨ著/小浜裕久監訳
国連がアフリカの「貧困半減のための援助倍増」の旗を掲げて10年。2015年の最終ゴール「ミレニアム開発目標」達成を目指し、なお強い意志で各国政府への叱咤激励を続ける。
確かにアフリカ諸国のパフォーマンスは、従来になく向上しているように見える。だが、アフリカ出身女性エコノミストによる本書は、データに基づき、過去数十年の1兆ドル以上の援助は、「貧しい人々をより貧しくさせ、経済成長を遅らせてきた」として全面的に援助の効果を否定する。
では、持続可能な発展策はあるのか。本書は中国をモデル化する。つまり、「直接投資受け入れと輸出志向」で離陸する方向である。しかも著者は、中国の損得に徹した進出のあり方をも大いに評価する。
日本からは、アフリカ向け援助の“真水”がむしろ減る傾向にある。日本の国際社会で認められる援助論理の構築に加え、自らの援助のあり方を決めるうえでも参考になる、論争の書だ。
東洋経済新報社 2310円
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